会社都合退職とは|自己都合との違い・失業給付・手続きを徹底解説


「会社都合退職」と「自己都合退職」では、失業保険の給付開始時期や給付日数、退職金の扱いまで大きく異なることをご存じでしょうか。同じ退職でも、どちらに区分されるかで、退職後の生活設計がまったく変わってきます。
この記事では、会社都合退職の定義や該当するケース、自己都合退職との具体的な違い、失業給付の条件と手続きの流れ、さらに不当に自己都合扱いされた場合の対処法まで、転職・退職を控えた方が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
会社都合退職とは、倒産・解雇・退職勧奨など、会社側の事情によって労働契約が終了する退職のことです。労働者本人の意思ではなく、会社の都合や経営判断によって離職を余儀なくされた場合に該当します。
雇用保険制度では、会社都合退職に該当する人を「特定受給資格者」と呼び、自己都合退職者よりも手厚い保護が用意されています。具体的には、失業給付(基本手当)の支給開始時期が早く、給付日数も長く設定されているのが特徴です。
会社都合退職とみなされる代表的なケースには、次のようなものがあります。
・会社の倒産や事業所の廃止による離職 ・経営悪化に伴うリストラ・整理解雇 ・退職勧奨を受けて応じた退職(早期退職優遇制度の応募は除く) ・有期雇用契約の更新を希望したが更新されなかった雇止め ・労働契約締結時に明示された労働条件と実態が著しく異なることによる離職 ・賃金(退職手当を除く)の3分の1を超える額が連続して未払いとなったことによる離職 ・上司や同僚からのハラスメントが原因の離職 ・長時間労働(月100時間超の時間外労働など)が改善されないことによる離職
懲戒解雇のように労働者本人に重大な責任がある場合は、形式的には会社による解雇でも、失業給付の取り扱い上は自己都合退職と同様になる点に注意が必要です。
会社都合退職と自己都合退職の最大の違いは、雇用保険の基本手当(失業保険)の受給条件にあります。具体的には、給付開始までの期間、給付日数、必要な被保険者期間の3点で大きな差が生まれます。
会社都合退職の場合、ハローワークで受給資格が決定してから7日間の待期期間を経れば、すぐに基本手当の支給が開始されます。一方、自己都合退職の場合は、待期期間7日間に加えて、原則1か月の給付制限期間が課されます。
なお、令和7年(2025年)4月1日以降に離職した場合、自己都合退職の給付制限期間は従来の2か月から1か月に短縮されました。ただし、過去5年以内に3回以上自己都合退職をしている場合は、引き続き3か月の給付制限が適用されます。
会社都合退職(特定受給資格者)の給付日数は、年齢と被保険者期間に応じて90日から最大330日まで設定されています。被保険者期間が長く、年齢が高いほど給付日数が長くなる仕組みです。
これに対して自己都合退職の給付日数は、被保険者期間に応じて90〜150日となっており、会社都合と比べて大幅に短くなります。突然の離職で再就職準備期間が取れなかった会社都合退職者を、より手厚く保護する制度設計となっています。
失業給付を受けるためには、雇用保険の被保険者期間が一定以上必要です。自己都合退職の場合は離職前2年間に通算12か月以上、会社都合退職の場合は離職前1年間に通算6か月以上あれば受給資格を得られます。
退職金制度は会社が任意で設けるものですが、退職金規程に「自己都合と会社都合で支給率を変える」と定めている企業は少なくありません。一般的に、会社都合退職のほうが自己都合退職よりも退職金が高くなるケースが多く見られます。
自社の退職金規程や就業規則を確認し、どの程度の差が生じるのか把握しておくとよいでしょう。
会社が労働者を解雇する場合、原則として30日以上前に解雇を予告するか、予告しない場合は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う義務があります。一方、自己都合退職の場合はこのような手当はありません。
会社都合退職で受け取れる失業給付の金額や日数は、年齢・被保険者期間・離職前の賃金によって決まります。具体的にどれくらいもらえるのかを見ていきましょう。
基本手当日額は、離職前6か月間の賃金(賞与を除く)の合計を180で割った「賃金日額」の45〜80%に相当します。賃金が低い人ほど給付率が高くなる仕組みです。
一般的には、退職時の給料の約50〜80%が失業給付として支給されると考えてよいでしょう。なお、年齢区分ごとに基本手当日額の上限額が定められています。
特定受給資格者の給付日数は、離職時の年齢と被保険者期間によって以下のように変わります。
・被保険者期間1年未満:全年齢一律で90日 ・1年以上5年未満:30〜34歳は120日、35〜44歳は150日、45〜59歳は180日 ・5年以上10年未満:30〜34歳は180日、35〜44歳は180日、45〜59歳は240日 ・10年以上20年未満:30〜34歳は210日、35〜44歳は240日、45〜59歳は270日 ・20年以上:35〜44歳は270日、45〜59歳は330日(最長)
65歳未満で被保険者期間が長く、年齢が高いほど、最大330日という長期にわたる給付を受けられます。
会社都合退職で失業給付を受け取るには、ハローワークで定められた手続きを進める必要があります。スムーズに受給を開始するため、流れと必要書類を押さえておきましょう。
退職後、おおよそ10日〜2週間程度で会社から「離職票-1」「離職票-2」が郵送されます。離職票-2には離職理由が記載されているため、会社都合退職の内容で記載されているかを必ず確認しましょう。
万が一会社が離職票を発行しない場合は、ハローワークに相談することで会社へ発行を促してもらえます。
住所地を管轄するハローワークに出向き、求職の申込みを行います。離職票・本人確認書類・マイナンバー確認書類・写真2枚・印鑑・本人名義の通帳などを持参しましょう。
ハローワークの窓口で離職理由が確認され、特定受給資格者として認定されると、受給資格決定日から7日間の待期期間がスタートします。
受給資格決定後、指定された日時に開催される雇用保険受給者初回説明会に参加します。ここで「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取り、第1回目の失業認定日が知らされます。
原則4週間に1回、ハローワークで失業認定を受けます。認定日には、その期間中の求職活動の実績を申告する必要があります。認定を受けた数日後(通常5営業日程度)に、指定の口座へ基本手当が振り込まれます。
以降、再就職が決まるまで「求職活動」と「失業認定」を繰り返しながら受給を続ける流れとなります。
会社都合退職には金銭面で大きなメリットがある一方、転職活動などに影響する側面もあります。両面を把握しておきましょう。
最大のメリットは、失業給付を早く・長く・多く受け取れる点です。給付制限期間がないため、退職後すぐに収入の道が確保でき、生活面の不安が小さく済みます。
また、再就職支援制度の優先利用や、職業訓練の受講機会など、ハローワークからのサポートも手厚く受けられます。退職金規程によっては退職金の支給額が増えるケースもあり、経済的な恩恵は大きいといえます。
一方、転職活動の場面では、会社都合退職であることを面接で詳しく聞かれる可能性があります。特に解雇による退職の場合、その理由や経緯を簡潔かつ前向きに説明できるよう、事前に準備しておく必要があります。
ただし、履歴書には退職理由を「一身上の都合により退職」と概括的に記載することもできますし、必ずしも会社都合退職であることが転職活動に大きな悪影響を及ぼすわけではありません。
実態は会社都合退職にもかかわらず、離職票上では「自己都合退職」として処理されているケースがあります。会社が助成金の受給要件を維持するために、会社都合退職を避けようとすることが背景にあるためです。こうした場合の対処法を紹介します。
退職勧奨を受けたとき、会社から「退職届を出してほしい」と求められても、安易に応じてはいけません。退職届を提出すると「自らの意思で退職した」という証拠になり、自己都合退職として扱われる根拠を会社に与えてしまいます。
会社都合退職を希望するなら、退職届は提出せず、退職勧奨を受けて退職した旨を明確にしておきましょう。
離職票の離職理由欄には、会社が記載した内容に対して退職者が異議を申し立てる欄が設けられています。実態と異なる場合は、ハローワークの窓口でその旨を伝え、異議を申し立てましょう。
最終的な離職理由の判断はハローワークが行います。会社・退職者双方の事情を聞いたうえで、要件に該当すれば会社都合退職として認定してもらえます。
会社都合退職を主張する際は、事実を裏付ける客観的な証拠が重要です。具体的には次のような資料が証拠となります。
・退職勧奨の場面を録音した音声データ ・退職を促されたメールやチャットの履歴 ・タイムカードや勤怠記録(長時間労働を立証する場合) ・賃金台帳や給与明細(賃金未払いやカットを立証する場合) ・ハラスメントの記録メモや関係者の証言
これらを揃えてハローワークに提出することで、会社都合退職として認定される可能性が高まります。
会社都合退職には該当しないものの、自己都合退職のなかでも「やむを得ない理由による退職」については、「特定理由離職者」として会社都合退職に近い優遇措置が受けられます。
特定理由離職者として認められる主な理由は次のとおりです。
・有期雇用契約の更新を希望したが更新されなかった(雇止め) ・病気・けがによる体調不良を理由とする離職 ・妊娠・出産・育児による離職(受給期間延長措置を受けた場合) ・父母の死亡・疾病・負傷等による親族の介護等のための離職 ・配偶者との別居生活が続けられない事情による離職 ・通勤困難となる事業所移転や引越しに伴う離職
特定理由離職者は、給付制限期間が免除される(待期期間7日後すぐに給付開始)ほか、被保険者期間の要件が「離職前1年間に6か月以上」と緩和されます。給付日数も、雇止めによる離職などのケースでは特定受給資格者と同じ日数が適用される場合があります。
自己都合退職を予定している方でも、上記の事情に該当する可能性がある場合は、ハローワークで一度相談してみることをおすすめします。
会社都合退職者を出した企業は、一定期間にわたって特定の助成金(雇用調整助成金やキャリアアップ助成金など)を受給できなくなる場合があります。これが、会社が会社都合退職を避けたがる主な理由です。ただし、これは会社側の事情であり、労働者が遠慮する必要はありません。
会社都合退職そのものが転職活動で大きな不利になることは、基本的にありません。倒産やリストラなど、会社側の事情による退職は十分に説明可能な理由として理解されます。むしろ重要なのは、退職後の行動と前向きな志望動機を語れるかどうかです。
受給中のアルバイトは原則として可能ですが、勤務時間や収入によって給付額が減額されたり、就業とみなされて給付が打ち切られたりする可能性があります。事前にハローワークで申告し、ルールを確認することが必須です。
会社都合退職(特定受給資格者・特定理由離職者)の場合、国民健康保険料が軽減される制度があります。対象者は前年所得を100分の30とみなして保険料を計算してもらえるため、自治体の窓口で「離職票」または「雇用保険受給資格者証」を提示して手続きしましょう。
会社都合退職とは、倒産・解雇・退職勧奨など会社側の事情で離職することをいい、自己都合退職と比較して失業給付の面で大きく優遇されます。給付制限期間がなく、給付日数も最大330日と長く、退職後の生活基盤を守るための重要な制度設計となっています。
一方で、本来は会社都合退職に該当するのに、会社の都合で自己都合退職として処理されるケースも少なくありません。退職届を安易に提出しないこと、客観的な証拠を残しておくこと、そして必要に応じてハローワークに異議申し立てをすることで、自分の権利を守ることができます。
退職や転職を考える際には、自分のケースが会社都合退職・自己都合退職・特定理由離職者のどれに該当するかを正確に把握し、適切な手続きを進めることが、退職後の生活を安定させる第一歩です。

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