カスハラとは?2026年10月の義務化と現場の対応・職場選びの確認点

接客、電話窓口、営業などで、顧客からの暴言や過大な要求を一人で受け続ける必要はありません。カスハラはカスタマーハラスメントの略で、正当な苦情とは区別して、組織として対応を考える問題です。
2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法による防止措置が事業主の義務となっています。この記事は、施行後の2026年10月19日時点の公的資料に基づき、働く人の初動と転職先に聞きたい点を整理します。厚生労働省の改正案内を確認しています。
カスハラの定義と、苦情との違い
制度上は、顧客等の言動であり、仕事の性質などを踏まえて社会的に許容される範囲を超え、その結果として労働者の就業環境が害される、という三つをすべて満たすものです。相手は一般消費者に限りません。取引先や施設利用者なども含まれます。厚生労働省の2026年度改訂マニュアルも、BtoBを含むすべての事業主が取り組む必要性を示しています。
商品不良の説明や契約に沿った返金の申出は、苦情だからというだけでカスハラにはなりません。一方、要求の内容に理由があっても、その手段が脅迫や人格攻撃などに変われば、別に評価する必要があります。
障害を理由とする不当な扱いをやめるよう求めることや、社会的障壁の除去が必要だと意思を伝えること自体もカスハラではありません。合理的配慮の提供義務など、顧客側の権利を踏まえて対応します。厚生労働省の詳細リーフレットに整理されています。
具体例は、要求と行動を分けて記録する
以下は本記事の架空例です。個別の該当性を確定する表ではありません。
場面 | まず分けたいこと | 相談時に伝える事実 |
|---|---|---|
商品の不具合について説明を求められる | 不具合への対応と、相手の言動 | 購入状況、求められた対応、こちらの説明 |
返金説明の後、同じ要求と侮辱が続く | 要求内容と、繰り返し・人格攻撃 | 発言、回数、時間、周囲の状況 |
担当者個人の住所を教えるよう迫られる | 業務との関係と、個人情報への要求 | 求められた情報、言い方、脅しの有無 |
取引先から契約外の対応を強く求められる | 契約範囲と、要求の程度・手段 | 契約との違い、連絡記録、仕事への影響 |
「嫌な客だった」だけで終わらず、何が起きたかを具体化します。会社側の説明不足など、経緯の確認も必要です。迷う段階でも相談して構いません。
会社に求められる対策は、研修だけではない
厚生労働省の制度解説は、方針の明確化と周知、相談体制、発生後の対応、悪質な言動の抑止、プライバシー保護や相談を理由とする不利益な取扱いの防止を挙げています。
現場では、誰に交代を求めるか、責任者不在時はどうするか、相談後に誰が事実を確認するかが分かることも大切です。「各自が丁寧に接客する」という注意だけで、すべてを担当者の力量に任せない運用が必要になります。
被害を受けたときの初動
カスハラ防止指針は、一人だけで対応させない工夫、管理者への報告、犯罪に当たり得る言動への警察通報などの対応例を示しています。カスハラか判断が難しい相談にも、広く対応する考え方です。
- 危険がある場合は、その場から安全を確保し、責任者や警備へ助けを求めます。差し迫った暴力などの緊急時は110番を利用します。
- 安全になってから、日時、場所、言動、居合わせた人、仕事への影響をメモします。メールなどは会社のルールに従って保全します。
- 上司や相談窓口に、担当交代や今後の連絡方法について相談します。上司が対応しない場合は人事など別の窓口も確認します。
- 心身に影響が続く場合は、休息や受診、産業保健の相談を検討します。相談するために法的な該当性を自分で証明し切る必要はありません。
録音・録画は会社の方針や個人情報の扱いを確認し、危険を冒して証拠を集めないでください。記録を個人のSNSへ公開することと、適切な窓口へ提出することは区別します。
相談メモの架空例
「10月○日、窓口で返品条件を説明した後、顧客から個人への侮辱が繰り返されました。責任者への交代を求めましたが不在でした。同席者はBさんで、業務メールにやり取りが残っています。再来店の連絡があり、一人での担当を避ける方法と責任者への連絡手順を相談したいです。」
これは本記事の例文です。書ける範囲の事実と、必要な支援を伝えます。記録が全部そろうまで相談を待つ必要はありません。
転職先には「対策あり」の先を聞く
接客や顧客折衝がある仕事では、次の質問を候補企業にしてみましょう。
- 新人が顧客対応で困った際、誰に交代を求められますか。
- 夜間や責任者不在の時間帯には、どの連絡経路を使いますか。
- 電話の終了や対応の中断は、誰がどの基準で判断しますか。
- 相談後の担当調整や振り返りは、どの部署が行いますか。
実際の顧客名や被害者の個人情報を求めず、手順と体制を聞きます。マニュアルの有無に加え、配属予定の部署で使える支援を確認してください。回答が未確認なら、そのまま比較メモに残します。
職場内の上司・同僚との問題はパワハラの定義と相談のガイドで別に扱っています。相談しやすい環境を見るには心理的安全性の記事も役立ちます。会社の対応に困る場合は、総合労働相談コーナーで相談先を確認できます。




