予算書の書き方|承認判断に必要な構成と記入例

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カテゴリ: マーケティング予算・KPI
著者: 与謝秀作
予算書は、必要な資源と期待する成果、代替案、リスクを示し、承認者が投資の可否を判断するための資料です。伝え方だけで承認が決まるものではありません。事業との整合性、費用の根拠、実行能力、見直し条件をそろえます。
一般部門の提案では、最初の1ページに決裁事項をまとめ、その後に計算根拠と見積もりを置くと判断しやすくなります。マーケティングの売上逆算などはマーケティング予算案の作り方で詳しく扱います。
承認用の基本構成
項目 | 答える問い | 添える根拠 |
|---|---|---|
決裁事項 | 何を、いくら、いつまで認めてほしいか | 期間・金額・対象範囲 |
現状と目的 | どの問題を解決するのか | 基準値、事例、関係者の確認 |
選択肢 | 現状維持や別案とどう違うか | 費用・効果・実行条件の比較 |
費用明細 | 数量・単価・時期は何か | 見積書、契約、工数 |
期待成果 | 何が変われば成功か | 指標、測定方法、確認日 |
リスク | 何が起きると成立しないか | 下振れ、対応策、停止条件 |
体制 | 誰が実行・確認するか | 担当、依存部署、承認経路 |
1ページの記入例
以下は、営業資料の検索・更新を改善する架空の部門提案です。実績や導入効果の保証ではありません。
項目 | 記入例 |
|---|---|
申請 | 資料管理の改善に初年度120万円、対象チーム10人 |
問題 | 最新版の確認と資料探索に時間がかかる。事前に2週間の作業記録を取る |
目的 | 必要な資料へ到達する時間と旧版使用の件数を減らす |
実行 | 資料棚卸し、分類、更新責任者、検索・共有の試行 |
費用 | ツール36万円、整理・移行48万円、社内教育・運用配賦36万円 |
評価 | 試行前後で同じ業務シナリオを確認。利用率と更新漏れも見る |
決裁条件 | 試行後の拡大は再審査。担当者とデータ移行条件を確定して開始 |
費用を数量と単価に分ける
費目 | 架空の計算 | 金額 |
|---|---|---|
ツール | 10人×月3,000円×12か月 | 360,000円 |
整理・移行 | 外部支援80時間×6,000円 | 480,000円 |
社内教育・運用 | 120時間×配賦単価3,000円 | 360,000円 |
合計 | 1,200,000円 |
外部への支払は84万円、社内配賦は36万円と分けて見せます。税の扱い、契約更新、追加利用料、移行対象の増加なども確認してください。初年度の一時費用と、翌年度も続く費用を分けると比較しやすくなります。
代替案と効果の仮定を示す
現状維持、既存の共有基盤の整理、新しいツールを導入する案を比較します。既存基盤で目的を満たせるなら、新規購入が必須とは限りません。比較は同じ対象人数と業務範囲で行います。
仮に10人が月4時間ずつ作業を減らせるとすると、年間480時間です。配賦単価3,000円で表すと144万円相当ですが、これは仮定に基づく時間価値で、現金支出が144万円減ることを意味しません。空いた時間を何へ使うか、品質を落としていないかも確認します。
比較軸 | 現状維持 | 既存基盤の整理 | 新規導入 |
|---|---|---|---|
追加支払 | 小さい | 作業・支援次第 | ライセンス・移行等 |
改善範囲 | 限定的 | 分類・更新責任を改善 | 機能と運用の両方を変更 |
主なリスク | 問題が継続 | 機能の制限が残る | 移行・教育・定着 |
リスクと見直し条件
対象資料が想定より多い、担当者が確保できない、必要な権限や出力が使えない場合など、実行が難しくなる条件を書きます。試行で重大な要件を満たせない場合は拡大を止める、費用上限を超える場合は再見積もりする、といった判断を事前に決めます。
提出前のチェックリスト
- 申請額、費用明細、添付見積もりの合計が一致しているか。
- 確定情報と仮定、支払と社内配賦を分けているか。
- 現状の問題を測る方法と、成功の判定日があるか。
- 代替案を同じ条件で比べたか。
- 実行担当、レビュー担当、必要な他部門の協力が決まっているか。
- 未承認の追加費用や契約更新を隠していないか。
差し戻された場合は、不足していた根拠、変わった前提、追加した条件を履歴に残します。予算書は承認後の実行と評価の基準にもなるため、通すことだけを目的にしないようにしましょう。
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