所定労働時間とは?法定との違いと1か月の計算方法・確認例

所定労働時間は、労働契約や就業規則で決められた、休憩を除く勤務時間です。「9時から17時30分まで」と書かれていても、8時間30分すべてが所定労働時間になるとは限りません。休憩が1時間なら、実働の予定は7時間30分です。
この記事では日本の雇用を前提に、求人票や勤務表の時間を読み、1日・その月・月平均の所定労働時間を計算する方法を説明します。法令情報は2026年10月16日に確認しました。計算例はすべて架空のものです。
所定・法定・実労働時間の違い
用語 | 意味 | 確認先 |
|---|---|---|
所定労働時間 | 契約や規則で予定している勤務時間 | 労働条件通知書、就業規則、勤務表 |
法定労働時間 | 原則1日8時間・週40時間という法律の基準 | 適用される労働時間制度 |
実労働時間 | 実際に働いた時間 | 打刻、業務記録、休憩の実態 |
拘束時間 | 始業から終業までの、休憩を含めた時間の目安 | 始業・終業と休憩の予定 |
原則の法定労働時間には、変形労働時間制、フレックスタイム制、一部の事業場の特例などがあります。1日の勤務が8時間を超えるという数字だけで結論を出さず、採用されている制度を確認してください。厚生労働省の労働時間の基本ルールが確認先になります。
有給休暇を取った日は、実際に働いた時間と、契約上予定されていた時間を区別します。「働かなかったから所定もゼロ」と置き換えると、契約の時間数と勤怠の実績が混ざってしまいます。
1日の計算は始業・終業・休憩を分ける
基本の読み方は「終業時刻−始業時刻−休憩時間」です。分を小数で扱うときは、30分を0.5時間、45分を0.75時間にします。7時間30分を7.3時間と入力しないよう注意しましょう。
勤務の予定 | 休憩 | 1日の所定労働時間 |
|---|---|---|
9:00〜17:30 | 1時間 | 7時間30分=7.5時間 |
9:00〜18:00 | 1時間 | 8時間 |
10:00〜16:00 | なし | 6時間 |
ここで差し引くのは、実際に仕事から離れられる休憩です。休憩欄があっても電話対応を命じられているなら、実態の確認が必要です。境界となる6時間・8時間の扱いは、勤務中の休憩についての厚生労働省FAQも参照してください。
「その月の時間」と「月平均」は別の数字
毎日の所定時間が同じ場合、その月の所定労働時間は「1日の所定時間×その月の所定労働日数」で求めます。7.5時間勤務で、その月の勤務予定日が20日なら150時間です。翌月が22日なら165時間になります。
一方、1年間における1か月平均所定労働時間数は「年間の所定労働時間の合計÷12」で考えます。年間の会社カレンダーから求める平均で、必ずしも毎月の勤務予定時間と一致しません。大阪労働局は月給の時間換算に使う月平均所定労働時間数の計算例を示しています。
前提 | 年間の所定労働時間 | 1か月平均 |
|---|---|---|
年間245日・毎日8時間 | 245×8=1,960時間 | 1,960÷12=約163.33時間 |
年間245日・毎日7.5時間 | 245×7.5=1,837.5時間 | 1,837.5÷12=153.125時間 |
年間245日は例の前提であり、法律で一律に定められた労働日数ではありません。365日の年に会社の休日が120日なら、365−120=245日と計算できる設定です。有給取得の実績を会社の所定休日数へ足して計算し直すことはしません。日によって勤務時間が違う場合は、各日の所定時間を合計してください。
「月160時間を超えたら残業」とは限らない
160時間や上の月平均は、すべての職場に共通する法定の月間上限ではありません。通常の労働時間制度では、日・週の法定時間を踏まえ、所定外の労働と法定時間外の労働を分けて確認します。
たとえば所定が7.5時間の日に8時間働いた場合、0.5時間は所定を超えます。ただし、その日の実労働時間だけを見れば8時間は超えていません。週の合計や賃金規程も確認し、追加の労働に対する賃金と、法定の割増が必要かを区別します。「法定時間内だから無給でよい」という意味ではありません。
また、日ごとの所定時間を超えなくても週の法定時間を超える場合があります。月の合計だけで判断せず、日付ごとの記録を残してください。法律全体の入口は労働基準法の基本で整理しています。
給与明細や求人票を読むときの確認項目
- 1日の始業・終業と、休憩を除いた所定時間を確認する。
- その月の勤務日数と、年間会社カレンダーの休日数を分ける。
- 記載された「月平均」が、どの期間と計算式による数字か聞く。
- 給与計算で使う時間数と、勤怠画面の実働時間の違いを確認する。
- 所定外の時間に対する賃金と、固定残業代の内訳・超過分の扱いを聞く。
質問例:「月平均所定労働時間が163.33時間となっていますが、年間の所定労働日数と1日の時間から算出した数字でしょうか。今月の勤務表は160時間なので、使い分けを確認したいです」。数字が違うだけで誤りと決めず、元になった資料と用途をそろえます。
転職先では制度と実際の記録方法を確認する
同じ月給でも、所定時間や勤務日数が異なれば、仕事に使う予定時間は変わります。面談では「通常月と繁忙月の勤務例」「始業前の準備をいつ打刻するか」「シフト確定後の変更方法」を聞いてみましょう。体験や見学では、説明された時間どおりに仕事を始め、休憩へ移れているかを観察できます。
書面の読み方は労働条件通知書の確認ガイド、休日表記の違いは週休二日制と完全週休二日制を参照してください。




