試用期間を延長すると言われたら?違法性の判断基準と確認すべきこと

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カテゴリ: 転職の不安・課題解決, 働き方
著者: 与謝秀作
試用期間の延長には、就業規則または労働契約に延長できる旨の根拠規定があることと、延長に合理的な理由があることの両方が必要です。根拠規定がないまま一方的に延長することはできません。
延長を告げられると「本採用されないのでは」と不安になりますが、まずは違法かどうかを切り分け、その上で確認すべきことを押さえるのが先です。試用期間そのものの仕組みは試用期間とは?お試し転職との違い・知っておくべき権利で解説しています。
延長が認められるには2つの条件が要る
試用期間を延長するということは、会社に広めの解約権が留保された不安定な状態を延ばすことを意味します。働く側にとって不利益なので、会社の裁量だけでは行えません。
条件1:就業規則等に根拠規定があること
就業規則や労働契約に「試用期間は延長することがある」という定めが必要です。根拠規定が一切ないのに会社が一方的に延長を通告しても、その延長は原則として無効です。まずは就業規則を確認してください。就業規則は従業員がいつでも見られる状態にしておくことが法上求められているため、閲覧を申し出て断られることはありません。
条件2:延長に合理的な理由があること
根拠規定があっても、それだけで自由に延長できるわけではありません。裁判上も、延長が認められやすいのは本来なら本採用を見送るところを、もう少し機会を与える目的で延長するような場合です。単に人件費を押さえたい、判断を先送りしたいといった会社都合だけの延長は、合理性を欠くと判断され得ます。延長できる期間の長さも、社会通念上相当な範囲に限られます。
延長を告げられたら確認する5つのこと
その場で返事をする必要はありません。次の5点を、できれば書面またはメールで確認してください。
- 根拠となる規定:就業規則の何条に基づく延長なのか。規定がない場合、延長自体の有効性が問題になります。
- 延長の理由:何が不足していると判断されたのか。「もう少し見たい」だけの回答なら、基準が存在していない可能性があります。
- 延長後の期間と終了日:「とりあえず延長」で終了日が示されないのは問題です。必ず日付で確認してください。
- 本採用の基準:延長期間中に何を満たせば本採用になるのか。ここを書面でもらえるかどうかが、会社の姿勢を最もよく表します。
- 延長中の賃金:試用期間中の低い賃金がそのまま延びるのか。金額の扱いは試用期間の給料は下げてもいい?で解説しています。
このうち特に重要なのは4番です。基準が示されれば、延長期間は「待機期間」ではなく「改善のための期間」に変わります。逆に、基準を示さないまま延長だけを告げる会社は、実質的に判断を先送りしているだけの可能性があります。
延長は必ずしも悪い知らせとは限らない
延長の通知を受けると「実質のクビ宣告」と受け取りがちですが、会社の立場から見ると逆の側面もあります。本採用を見送る(つまり雇用を終了させる)判断を下さず、もう一度機会を与えるという選択も、延長という形を取ります。実際、延長が認められやすいのはこのタイプです。
そのため、告げられた時点で退職を前提に動くのは早すぎます。まずは理由と基準を聞き、改善できる内容かどうかを見極めること。そのうえで、改善の見込みがない、あるいは基準自体が示されないのであれば、次を探し始める判断になります。
延長を断ることはできるのか
根拠規定があり、理由にも合理性がある延長であれば、「延長には応じないが在籍は続ける」という主張を通すのは難しいのが実情です。一方で、根拠規定がない場合は延長自体の効力を争えます。この場合、当初の試用期間の終了とともに本採用されたと扱う余地があります。主張するなら、就業規則の該当箇所と延長通知の記録を揃えたうえで、労働基準監督署や専門家に相談してください。
なお、延長を拒んだことを理由に即座に解雇することも、自由にはできません。試用期間中の解雇は通常より広く認められる余地があるものの、客観的な理由と手続きは必要です。詳しくは試用期間中にクビになる理由と対処法をご覧ください。
延長を告げられたときの動き方
- その場では承諾も拒否もせず、「内容を確認したいので書面でいただけますか」と伝える
- 就業規則の延長規定を確認し、該当箇所を控えておく
- 延長理由・期間・本採用の基準・賃金の扱いをメールで質問する
- 回答を踏まえ、改善に取り組むか、平行して次を探すかを決める
在職中に次を探す場合、同じミスマッチを繰り返さないことが重要です。おためし転職なら、入社を決める前に実際にその職場で働いて確かめられます。試用期間で評価される側に回る前に、自分が職場を見て判断するという順番です。仕組みはお試し転職とは?サービス比較と始め方で解説しています。
試用期間の延長に関するよくある質問
Q. 延長は何回までできますか?
回数を定めた法律はありませんが、延長を重ねて試用期間が長期化するほど、合理性は認められにくくなります。就業規則に延長の上限が定められている場合は、その範囲を超える延長はできません。
Q. 延長されたら本採用されない可能性が高いですか?
延長は本採用を見送る代わりに機会を与える目的で行われることが多く、その意味ではむしろ継続の意思表示です。ただし現状のままでは不十分と判断されているのも確かです。基準を聞いて具体的な改善点を把握することが先です。
Q. 延長中の給料は低いままですか?
労働条件通知書や就業規則の定めによります。試用期間中の賃金がそのまま適用されるケースが多いため、延長の通知を受けた時点で金額の扱いを確認しておいてください。
Q. 延長を口頭でしか伝えられていません。
口頭だけでも通知自体は成立し得ますが、後で争いになったときに確認できなくなります。「先日お伝えいただいた延長の件について、期間と理由を確認させてください」とメールで送っておけば、やりとりが記録として残ります。
まとめ|「根拠」と「基準」の2つを確認する
試用期間の延長は、就業規則等の根拠と合理的な理由があってはじめて認められます。根拠規定がない一方的な延長は無効を争えますし、根拠があっても会社都合だけの延長は合理性を欠きます。告げられたら、根拠規定と本採用の基準を、口頭ではなく書面やメールで確認するところから始めてください。
そもそも試用期間が長い会社を見分ける方法は試用期間6ヶ月は長すぎ?「やばい会社」を見分けるチェックリストを、退職を検討する場合の手順は試用期間中に退職したい!手順・伝え方・転職への影響をご覧ください。
※本記事は一般的な法令の考え方を整理したものです。個別の事案の判断は事情により異なるため、具体的なトラブルは労働基準監督署や弁護士等の専門家にご相談ください。




