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ROASの計算式と損益分岐点|粗利率から目標値を求める実践ガイド

ROAS計算式の使い方・損益分岐点の求め方

公開日: 2026/03/05

最終更新日: 2026/09/25

カテゴリ: 広告効果測定

著者: 与謝秀作

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ROASは、広告費に対してどれだけの売上が得られたかを表す指標です。計算式は「広告に帰属する売上÷広告費×100」。売上100万円、広告費20万円ならROASは500%です。

ただし、500%だから黒字とは限りません。利益を判断するには、商品原価や送料などを反映した損益分岐点が必要です。ここでは、計算に使う数字のそろえ方から、目標ROASを決めるところまで順に説明します。

ROASの基本計算:%と倍を区別する

売上

広告費

計算

ROAS

100万円

20万円

100÷20×100

500%(5倍)

60万円

20万円

60÷20×100

300%(3倍)

20万円

20万円

20÷20×100

100%(1倍)

表は仮想の数値例です。広告管理画面によっては、同じ意味の指標が「コンバージョン値/費用」のように倍率で表示されます。5と500%を別の成果と解釈しないよう、レポートの単位を統一します。Google広告の値の扱いはコンバージョントラッキングデータの説明で確認できます。

複数広告のROASを集計するときは、割合の単純平均ではなく「合計売上÷合計広告費」で計算します。売上50万円・広告費10万円の広告Aと、売上90万円・広告費30万円の広告Bなら、全体は140万円÷40万円×100=350%。500%と300%の平均である400%にはなりません。

損益分岐ROASを粗利率から計算する

広告費を引く前の利益を売上で割った率を使います。原価のみを引くなら粗利率、送料・決済手数料などの変動費も引くなら、それらを反映した限界利益率です。

損益分岐ROAS(%)=100÷広告費控除前の利益率(小数)

売上100万円、原価60万円なら粗利率は40%。広告費に使える上限は40万円なので、損益分岐ROASは100万円÷40万円×100=250%です。これは固定費や追加費用を除いた計算です。

利益率の前提

損益分岐ROAS

売上100万円で負担できる広告費

20%

500%

20万円

30%

約333%

30万円

40%

250%

40万円

50%

200%

50万円

60%

約167%

60万円

ROAS100%では売上のすべてを広告費に使っています。原価が発生する商品の黒字基準として、100%を置くことはできません。

送料・手数料・残したい利益を含めた計算例

次の仮想条件で、売上100万円から10万円の利益を残したいとします。

項目

金額

売上

1,000,000円

商品原価

600,000円

送料・決済手数料など

100,000円

広告費控除前の利益

300,000円

残したい利益

100,000円

許容できる広告費

200,000円

損益分岐点は100万円÷30万円×100=約333%。一方、10万円の利益を残す目標は100万円÷20万円×100=500%です。損益分岐ROASと目標ROASは同じではありません。

一般式にすると「許容広告費=売上−広告以外の対象費用−目標利益」「目標ROAS=売上÷許容広告費×100」です。許容広告費が0以下になる場合は、広告を増やす前に価格・原価・目標利益の前提を見直します。

代理店費用が広告費の一定割合で増える場合、その手数料を固定額として扱わないことも重要です。広告費A、手数料率r、広告費控除前利益G、目標利益Pなら、Aの上限は(G−P)÷(1+r)です。広告費と手数料を合算した社内指標は、媒体画面のROASと名称を分けます。

そのまま作れる計算シート

表計算でA列に項目、B列に数値を置く場合の例です。率を使わず金額で計算するため、%の入力間違いを避けられます。

行

A列の項目

B列の入力・式

2

広告に帰属する売上

1000000

3

商品原価

600000

4

その他の対象費用

100000

5

実際の広告費

200000

6

目標利益

100000

7

実際のROAS(%表記)

=B2/B5

8

広告費控除後の利益

=B2-B3-B4-B5

9

許容広告費

=B2-B3-B4-B6

10

目標ROAS(%表記)

=B2/B9

B7とB10はセルをパーセント表示にします。この場合、式の末尾にさらに×100は付けません。B5またはB9が0以下なら割り算を行わず、計算対象外として理由を記録してください。

計算前にそろえる5つの条件

  1. 期間:同じ月の広告費と、どの獲得・売上期間を対応させるかを決める。
  2. 売上:受注、決済、入金のどの時点か、返品・キャンセルを差し引くかを決める。
  3. 税と通貨:税込・税抜、為替換算日を統一する。
  4. 帰属:媒体、GA4、CRMのどの売上を使うかを決める。媒体売上の単純合算は重複の原因になる。
  5. 費用:媒体費のみか、制作・運用費込みかを明記する。

特に検討期間が長い商材では、当月費用と当月受注だけを比べると判断がぶれます。通常の月次表に加え、獲得月別の売上と回収状況を追うと、広告費と成果を対応させやすくなります。

よくある計算上の疑問

広告費が0円のときは?

ROASは算出できません。自然検索や既存顧客からの売上を「無限のROAS」として広告と比較せず、別の流入区分で管理します。

複数商品の粗利率が違うときは?

商品ごとの粗利益を合計してから、売上合計で割ります。利益率だけを単純平均すると、売上構成を反映できません。商品構成が変われば目標ROASも見直します。

将来のリピート売上を入れてよいですか?

獲得月別に観測期間をそろえたLTVベースの評価は可能です。初回ROASとは別の列に置き、実績と将来予測を分けます。売上LTVと利益LTVも混同しないようにします。

まず自社の費用範囲と目標利益を固定し、上のシートで損益分岐点を計算してください。意味や運用上の位置付けはROASの基本ガイド、他指標との使い分けはROI・ROAS・CPAの比較で確認できます。

 

 

 

 

目次

  1. ROASの基本計算:%と倍を区別する
  2. 損益分岐ROASを粗利率から計算する
  3. 送料・手数料・残したい利益を含めた計算例
  4. そのまま作れる計算シート
  5. 計算前にそろえる5つの条件
  6. よくある計算上の疑問

 

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