
Web広告の効果測定では、クリック数やクリック経由のコンバージョンだけに注目しがちです。しかし、広告をクリックしなかったユーザーが後日コンバージョンに至るケースは少なくありません。こうした間接的な広告効果を可視化する指標が「ビュースルーコンバージョン」です。この記事では、ビュースルーコンバージョンの定義から計測の仕組み、主要媒体での設定方法、活用時の注意点までを網羅的に解説します。
ビュースルーコンバージョン(VTC:View Through Conversion)とは、広告が表示されたもののクリックされず、その後ユーザーが別の経路からコンバージョンに至った場合に記録される指標です。たとえば、SNSのフィードでディスプレイ広告を目にしたユーザーがその場ではクリックしなかったものの、後日Google検索で商品を見つけて購入した場合、そのディスプレイ広告にビュースルーコンバージョンが1件カウントされます。
広告を直接クリックしてコンバージョンに至った場合は「クリックスルーコンバージョン(CTC)」として計測されます。一方、ビュースルーコンバージョンは広告の「閲覧」がきっかけとなった間接的なコンバージョンを捉える指標であり、両者を組み合わせて評価することで広告の真の効果を把握できます。
クリックスルーコンバージョンは「広告をクリックしたかどうか」を基準に計測されます。広告をクリックしたユーザーが、その場で、あるいは一定期間内にコンバージョンに至ればクリックスルーコンバージョンとしてカウントされます。リスティング広告のようにクリックが主な指標となる広告で重視されます。
対してビュースルーコンバージョンは「広告が表示されたかどうか」が基準です。ディスプレイ広告や動画広告のように、直接クリックされにくい広告フォーマットでは、クリックスルーだけで評価すると広告の貢献度を過小評価してしまいます。ビュースルーコンバージョンを併せて計測することで、認知形成や購買意欲の醸成といった間接効果を正しく捉えられるようになります。
近年の消費者の購買行動は複雑化しており、広告を見てすぐに購入するのではなく、後日検索や比較検討を経てからコンバージョンに至るケースが増えています。クリック数だけで広告を評価すると、認知獲得に貢献した広告が「成果なし」と判断されてしまい、本来効果のある広告の予算を削減してしまうリスクがあります。
ビュースルーコンバージョンを計測することで、広告の間接効果が数値として見えるようになり、広告予算の配分を最適化したり、効果の高いクリエイティブを特定したりすることが可能になります。特にディスプレイ広告、動画広告、SNS広告など表示を主体とする広告の評価には欠かせない指標です。
ビュースルーコンバージョンの計測には、コンバージョン計測用のタグ(Google広告のコンバージョンタグ、Meta広告のMetaピクセルなど)が使われます。ユーザーに広告が表示された履歴をCookieや広告IDで記録し、そのユーザーが計測期間内に別経路でコンバージョンした場合にビュースルーコンバージョンとしてカウントされます。
計測にはCookieが利用されるため、サードパーティCookie規制やITP(Intelligent Tracking Prevention)の影響を受ける場合がある点には注意が必要です。
Google広告では、最短1日から最長30日間のビュースルーコンバージョン計測期間を設定できます。管理画面の「ツールと設定」→「測定」→「コンバージョン」から対象のコンバージョンアクションを選択し、「設定の編集」で「ビュースルーコンバージョン計測期間」を設定します。レポートで確認する際は、「表示項目の変更」からコンバージョン配下の「ビュースルーコンバージョン」にチェックを入れて適用します。
Meta広告では「ビューアトリビューション」という名称で計測されます。広告マネージャの「列をカスタマイズ」から「アトリビューションウィンドウ」を編集し、「ビュー」の期間(1日間または7日間)を選択して確認できます。
Yahoo!広告のディスプレイ広告では、コンバージョン設定の中でビュースルーコンバージョンの計測期間を設定できます。レポート画面の「表示項目」からビュースルーコンバージョン数にチェックを入れることで確認が可能です。
X広告では「ポストビューアトリビューション」という名称で計測されます。管理画面の「ツール」→「コンバージョントラッキング」から対象のイベントを選択し、ポストビューアトリビューション期間を設定します。
ビュースルーコンバージョンの計測期間は、短めに設定するのが基本です。期間を長くしすぎると、広告の閲覧からコンバージョンまでの間にさまざまな接点をユーザーが持つため、本当に広告の効果なのか判断しにくくなります。
一般的には1日間が推奨されますが、不動産や自動車のような高額商材で検討期間が長い場合は、7日間や30日間など商材特性に合わせて調整しましょう。
広告を閲覧したあとに自然検索でコンバージョンした場合、ビュースルーコンバージョンと自然検索のコンバージョンの両方がカウントされることがあります。また、Google広告とMeta広告など異なるプラットフォーム間では、同一ユーザーのコンバージョンが重複してカウントされる可能性もあります。広告管理ツールやアトリビューション分析ツールを使い、データを一元管理することが重要です。
広告が「表示」された(インプレッションが発生した)としても、ユーザーが実際に画面を見ていたかどうかは別問題です。ページの下部に表示された広告がスクロールされずに見られなかった場合でもインプレッションとして計測されることがあるため、ビューアビリティ(視認率)も併せてチェックする必要があります。
ビュースルーコンバージョンの計測にはCookieが利用されるため、SafariのITPやChromeのサードパーティCookie廃止方針の影響を受けます。Cookieが制限された環境では計測精度が低下するため、サーバーサイド計測やファーストパーティデータの活用など、Cookie規制に対応した計測基盤の整備が求められます。
ビュースルーコンバージョンは、以下のような場面で特に活用価値が高い指標です。
まず、認知目的のディスプレイ広告や動画広告のKPI設定に活用できます。クリック率が低くても、ビュースルーコンバージョンが発生していれば、その広告は認知獲得に貢献していると評価できます。次に、広告クリエイティブの改善にも役立ちます。ビュースルーコンバージョンが多いクリエイティブを特定することで、ユーザーの記憶に残りやすいデザインやメッセージの傾向がわかります。さらに、広告予算の最適配分にも有効です。クリック経由の成果だけでなく間接効果も含めた指標で各広告チャネルを評価することで、より合理的な予算配分が可能になります。
ビュースルーコンバージョンは、広告をクリックしなかったユーザーが後日コンバージョンに至った場合にカウントされる、広告の間接効果を測る指標です。クリックスルーコンバージョンだけでは見えない広告の貢献度を可視化でき、特にディスプレイ広告や動画広告の正しい評価に不可欠です。
計測にあたっては、計測期間を短めに設定すること、重複カウントに注意すること、Cookie規制への対応を考慮することがポイントです。自社の広告運用においてビュースルーコンバージョンを正しく計測・活用し、広告の間接効果も含めた精度の高い効果測定と予算最適化を実現しましょう。

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