AIDMAとは?5段階の意味・具体例とAISASとの違い

AIDMA(アイドマ)は、Attention(注意)・Interest(関心)・Desire(欲求)・Memory(記憶)・Action(行動)の5つで、購入までの心理を整理する古典的なモデルです。「商品を知る」「詳しく知りたい」「使いたい」「必要なときに思い出す」「購入する」という仮説を、顧客への質問や情報提供の設計に使います。
5段階は、全員が同じ順番で通る実測済みの経路ではありません。検索、比較、保留、再検討を行き来する人も、紹介からすぐ購入する人もいます。まず5文字の意味を押さえ、その後に実際の発言や行動との違いを確かめると、モデルに合わせて顧客を決めつけることを避けられます。
AIDMAの5段階と具体的な施策
同じ商品でも、「存在を知らない人」と「使えるかを比較している人」では必要な情報が異なります。以下は施策を考えるための整理例です。表の指標は心理の証明ではなく、追加調査の手掛かりとして読みます。
段階 | 顧客の疑問の例 | 情報・施策の例 | 確認すること |
|---|---|---|---|
Attention:注意 | 何をする商品か | 用途が分かる紹介・見出し | 対象者が商品を認識し説明できるか |
Interest:関心 | 自分の課題に関係するか | 使用場面・課題別の説明 | どこに関心を持ち何が不明か |
Desire:欲求 | 使う価値があり負担に見合うか | 比較・条件・実演 | 期待する便益とためらう理由 |
Memory:記憶 | 必要なときに探せるか | 保存できる説明・希望者への案内 | 何を覚え、どう再検討したか |
Action:行動 | 購入・相談をどう進めるか | 料金・申込手順・明確なCTA | 完了した行動と途中の障害 |
たとえば「思い出してもらう」施策でも、毎日メールを送ればよいとは限りません。購入時期が先の人には保存できる比較資料が役立つ場合があります。希望しない連絡は止め、誰に何の情報を届けるかを先に決めます。継続的な情報提供の設計はリードナーチャリングで詳しく扱っています。
AIDA・AIDMA・AISASとの違い
AIDAはAttention・Interest・Desire・Action、AIDMAはそこにMemoryを含む整理です。AISASはAttention・Interest・Search・Action・Shareで、検索と共有に目を向けます。AIDMAのMemoryという一語をSearchに置き換えただけのモデルではありません。
モデル | 要素 | 着目する点 | 補って考えること |
|---|---|---|---|
AIDA | 注意・関心・欲求・行動 | 行動までの情報と動機 | 保留や再検討、購入後の利用 |
AIDMA | 注意・関心・欲求・記憶・行動 | 思い出すまでの時間を含む心理 | 検索・比較の反復と複数の関係者 |
AISAS | 注意・関心・検索・行動・共有 | 自ら情報を探し共有する行動 | 検索しない人、共有しない人、離脱 |
電通の当事者解説では、AISASを2004年に提唱したと説明しています。SearchとShareを含む考え方は電通報の解説で確認できます。いずれも整理の枠組みであり、「新しいモデルだからあらゆる商材で正しい」という選び方はできません。
モデルを選ぶ前に、自社の顧客が何を比較し、誰に相談し、どこで保留したかを調べます。マーケティングの基本にある顧客理解や提供価値の検討と結び付ければ、用語の暗記で終わらず施策の問いを作れます。
架空例:椅子を購入する人の行動を整理する
以下は、モデルの使い方を示す架空の購入例です。在宅勤務用の椅子を探す人が、知人の紹介で商品を知り、サイズを検索し、店舗で別製品を試して一度保留し、予算を確認して購入したとします。購入後には組立方法と返品条件も確認しました。
AIDMAで仮に整理すると、紹介は注意、サイズの確認は関心、使い心地への期待は欲求、再検討は記憶、購入は行動の手掛かりになります。ただし、サイズを検索した理由は「欲しい」だけでなく「置けない可能性を確認したい」かもしれません。本人への質問で理由を確認する必要があります。
観察・発言の例 | 暫定的な解釈 | 別の可能性 | 次に確かめること |
|---|---|---|---|
サイズ表を何度か見た | 具体的に検討している | 設置できず迷っている | 設置場所と判断条件 |
数週間後に戻った | 商品を覚えていた | 比較サイトで再発見した | 戻ってきたきっかけ |
注文画面で止まった | 買う意欲が下がった | 配送条件・操作・支払方法に問題 | どの条件が障害になったか |
購入後に返品ページを見た | 不満がある | 条件を念のため確認した | 利用状況と困りごとの有無 |
GoogleとThe Behavioural Architectsによる2020年の研究も、購入までに探索と評価が反復する行動を扱っています。Googleの購入意思決定研究は、一直線の経路だけでは捉えにくい行動を考える参考になります。ただし、研究対象を超えてすべての国・商品・B2B取引に同じ経路があるとはしません。
B2Bでは使う人、比較する人、予算を承認する人が異なることもあります。一人の5段階で企業全体を説明せず、調査に基づくペルソナを役割ごとに整理し、誰の疑問を扱っているのかを明らかにします。
クリック・Direct・開封率から心理を断定しない
広告表示は「注意を向けた人の人数」、クリックは「関心を持つ人の全数」ではありません。Directも、商品を記憶してURLを入力した人だけを表すわけではなく、参照元が分からない流入を含みます。行動指標の名称を心理段階の名称へそのまま読み替えると、施策の優先順位を誤るおそれがあります。
メール開封にも観測上の制約があります。Mailchimpの公式説明は、Appleのメールプライバシー保護やボットが開封・クリック指標に影響することを説明しています。開封が増えたことだけで「覚えている人が増えた」「購買意欲が高まった」と判断しません。
架空の数値例で広告10,000表示、クリック100件、購入5件だった場合、クリック率は100÷10,000=1%です。一方、表示は回数、クリックも集計条件によって回数であり、10,000人のうち100人が関心を持ち5人が欲求へ進んだという心理の転換率は算出できません。購入件数÷クリック件数を扱う場合も、期間、対象クリック、帰属、重複を定義します。
認知アンケートの回答者数とGA4のセッション数など、母集団が異なる数字を割ることも避けます。記憶を確かめたいなら想起調査やインタビュー、操作の障害ならユーザーテストと行動記録など、問いに合う確認方法を選びます。
記入式:心理仮説を施策と検証へつなげる
以下の表をコピーして、自社で一つの課題から埋めてください。空欄を想像で完成させる必要はありません。「未確認」と残すことで、次に調べることが分かります。
項目 | 記入内容 | 架空の記入例 |
|---|---|---|
対象・判断場面 | 誰が何を選ぶ場面か | 小規模企業の備品担当が椅子を選ぶ |
根拠 | 発言・観察・調査日・対象 | 直近の調査で配送時期を質問された |
心理仮説 | 期待・疑問・不安 | 納期が決まらず比較を保留している可能性 |
情報と行動提案 | 何を説明し何を選べるようにするか | 配送条件を明示し、納期を相談できるようにする |
検証 | 対象・期間・指標・別解釈 | 条件の理解度と有効相談、注文への影響を確認 |
担当・判定日 | 誰が何を見て継続するか | 担当者名、確認日、修正条件を記入 |
施策は仮説に対応させます。「Memoryが弱い」と決める前に、再検討に必要な情報が見つかるか、購入を急がせていないかを確認しましょう。行動提案の作り方はCTAの設計、案の比較はA/Bテストを参照できます。
運用前のチェックと見直し条件
- 5文字の説明と、実際に観察できた事実を分けたか。
- 戻る・保留する・購入しない・購入後の利用を記録できるか。
- クリックや開封を心理の確定値として使っていないか。
- 指標の単位・期間・分母・費用範囲が揃っているか。
- 顧客の発言で反証された仮説を修正する担当がいるか。
- 行動指標の変化を、売上やROIの因果効果と混同していないか。
顧客が想定経路を通らない、複数人の判断を一人のモデルで説明できない、調査結果と施策仮説が食い違う場合は、段階を増やして合わせるより、実際の行動記録に戻って見直します。
仮説ごとの施策、担当、予算、実績を継続して振り返るには、管理する場所を揃えることも役立ちます。Xtrategyの機能では、プロジェクトや予算・実績の管理を確認できます。心理段階の自動判定や成果の保証として使うものではなく、何を試し何が起きたかをチームで整理する運用につなげましょう。




