チャーンレートとは?顧客・売上の計算式と月次・年次の読み方

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カテゴリ: マーケティング予算・KPI, マーケ基礎用語
著者: 与謝秀作
チャーンレートは、一定期間に失った顧客や継続売上の割合です。顧客数で測る解約率と、MRRで測る売上チャーンは別の指標です。まず誰を対象に、いつを解約とし、何を分母にするかを決めます。本記事では期首の顧客群を固定して計算する方法を中心に説明します。
顧客チャーンと売上チャーンの計算式
顧客チャーンレート=期間内に失った期首顧客数÷期首顧客数×100です。月初に100社あり、その100社のうち10社が月内に契約終了となれば10%です。途中で獲得した新規顧客の解約を、期首顧客の損失へ無条件に足してはいけません。
指標 | 分子 | 分母 | 分かること |
|---|---|---|---|
顧客チャーン | 失った期首顧客数 | 期首顧客数 | 顧客基盤の縮小 |
グロス売上チャーン | 解約MRR+縮小MRR | 期首MRR | 拡大で相殺する前の損失 |
ネット売上チャーン | 解約MRR+縮小MRR−拡大MRR | 期首MRR | 既存顧客の拡大を含む純損失 |
MRRは契約の継続売上を月額に正規化した指標で、入金額やその月の会計上の売上と同じとは限りません。表の売上チャーンでは期首の同じ顧客群を使い、期間中新規のMRRを除きます。ChartMogulのGRR・NRR説明でも、期首顧客と期間中新規を分けています。
集計前に分母と解約日を固定する
解約申請日とサービス終了日は異なる場合があります。月末まで使える契約を月初の申請時点で失ったと数えるのか、終了日に数えるのかで月次値は変わります。決済失敗も、回復中なのか最終終了なのかを分けます。具体的な事象の分類はチャーンと解約・利用離脱の違いで確認できます。
ツールの値と自作集計が合わない場合は、定義を照合します。たとえばStripe Billingの現行定義では、subscriber churn rateの分母に30日前のactive subscribersと期間中新規を使います。本記事の期首コホート方式と同じではありません。名前が同じでも、数式を確認せず比較しないことが大切です。
- 顧客単位を会社・契約・ユーザーのどれにするか決め、複数契約を重複計上しない。
- 期首対象の一覧を固定し、新規・再加入を別列で管理する。
- 解約申請、契約失効、利用停止のうち採用するイベントを決める。
- 割引、ダウングレード、為替変動、再活性化の扱いと集計タイムゾーンを残す。
架空の月次データでGRR・NRRまで計算する
以下は説明用の架空例です。期首100社、MRR100万円から始まり、期首顧客10社の解約で10万円、別の期首顧客の縮小で5万円を失い、期首顧客の追加契約で20万円増えたとします。さらに新規顧客のMRR30万円が加わりました。再加入と為替影響はないものとします。
計算項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
顧客チャーン | 10社÷100社 | 10% |
グロス売上チャーン | (10万円+5万円)÷100万円 | 15% |
ネット売上チャーン | (10万円+5万円−20万円)÷100万円 | −5% |
GRR:拡大を除く売上維持率 | (100万円−10万円−5万円)÷100万円 | 85% |
NRR:拡大を含む売上維持率 | (100万円−10万円−5万円+20万円)÷100万円 | 105% |
期末の全体MRR | 既存105万円+新規30万円 | 135万円 |
この例ではネット売上チャーンが負でも顧客は10社失われています。拡大による売上増だけで解約問題が解消したとは判断できません。また全体MRRの35%増加を、既存顧客のNRR135%と呼ぶのも誤りです。新規を除いたNRRは105%です。
月次3%を年次36%としない
月次チャーンを12倍しても、同じ顧客群が1年で失われる割合にはなりません。各月に残っている顧客のうち一定割合mが離脱し、途中加入・再加入がない単純モデルなら、年次換算は1−(1−m)の12乗です。3%は0.03として計算します。
仮定 | 計算 | 換算結果 |
|---|---|---|
月次1%が一定 | 1−0.99の12乗 | 年次約11.36% |
月次3%が一定 | 1−0.97の12乗 | 年次約30.62% |
年次5%に相当する一定月次率 | 1−0.95の12分の1乗 | 月次約0.43% |
したがって「月次1%と年次5%は同じ水準」とはいえません。月ごとの離脱確率が違えば残存率を各月で掛け合わせます。実際の年間解約率は対象顧客群を直接追って測定し、この単純換算値と区別してください。年契約の更新月が集中する事業では、1か月の率を一定と仮定すること自体が適さない場合があります。
平均値より同じ条件の顧客群を比べる
解約率の良し悪しは、顧客単位、契約期間、価格帯、獲得時期、事業モデルによって変わります。調査年・母集団・分母の分からない業界平均を目標にせず、まず同じ契約更新条件の顧客群を比べます。少数顧客では1社の解約が率を大きく動かすため、割合と一緒に実数を示します。
顧客チャーンが増えたら、解約理由、導入時期、支払い状態を確認します。顧客数は安定しているのにグロス売上チャーンが高いなら、席数削減や値下げが中心かもしれません。ネットだけが改善した場合は、大口顧客の拡大で損失が隠れていないか調べます。ログイン頻度と解約の相関だけで、特定機能の利用が解約を防いだとは断定できません。
月次レビューから次の施策へつなげる
- 元データと前月の期末値を照合し、顧客・MRRの増減を説明する。
- 同じ定義で顧客churn、GRR、NRRと損失実額を出す。
- 解約・縮小・決済失敗を分け、未回答の理由を推測で埋めない。
- 対象、施策、追加費用、観測期間を決めて検証する。
具体的な施策の選び方は離反理由・アップセル別のLTV改善設計につなげられます。施策の計画、担当、コストをチームで管理するときは、Xtrategyのプロジェクト管理・予算実績管理も活用できます。解約率の集計条件と、施策の実行記録をそろえて判断しましょう。




