AAID(Android広告ID)とは?ゼロ値・AD_ID権限・SDKの確認事項

AAID(Android Advertising ID)は、Google Play servicesが提供する広告用の識別子です。利用者がリセット・削除できる一方、アプリの権限や実行環境によって取得結果が変わります。広告IDが取れた件数を人数と見なしたり、ゼロ値をすべて利用者の削除と解釈したりせず、目的、仕様、観測の単位を分けて確認しましょう。
以下は2026年10月9日に確認した公式仕様に基づく整理です。実装ではアプリの対象API、SDKの版、Google Play servicesの対応、配信地域を併せて確認してください。プラットフォームの技術仕様、Google Playのポリシー、各国の法令は、それぞれ別の条件です。
AAIDとほかのAndroid識別子を用途で区別する
Googleの広告IDの公式説明は、AAIDを利用者がリセット・削除できる広告向けIDとしています。AAIDやGAIDという呼称を見ても、レポートの「ADID」という項目が必ず同じものとは限りません。ツールのデータ辞書で、何が発行し、どの範囲で使い、何を数えている項目かを確認します。
識別子 | 提供元・用途の確認 | 範囲と変更条件の注意 | 一次資料 |
|---|---|---|---|
AAID | Google Play servicesの広告向けID | 利用者のリセット・削除を尊重。取得環境も確認 | Google Playの広告ID説明 |
ANDROID_ID | Androidプラットフォームの識別子 | 署名鍵・利用者・端末等に関係する範囲とOS条件を確認 | Settings.Secureの公式リファレンス |
App Set ID | 同一開発者のアプリ群に関する非広告用途等 | スコープやリセット条件はAAIDと別。広告用の代替としない | App Set IDの公式説明 |
ANDROID_IDのリファレンスとApp Set IDの説明のように、識別子ごとの資料を参照します。名前が似ていても、寿命、共有範囲、利用できる目的は同じではありません。Androidの識別子選択ガイドも、必要な用途を満たす範囲の小さい識別子を選ぶ考え方を示しています。
広告目的と非広告の利用状況分析を分け、広告IDが取れないから永続的な端末IDに置き換える、という短絡的な設計は避けます。リセット可能なIDは、本人確認や永続的な会員管理の代わりでもありません。広告施策の目的はPPC広告の運用と指標と対応させて整理できます。
Google Play services・リセット・削除の仕組み
AAIDは、すべてのAndroid環境で同じ条件で使えるOS標準の本人IDではありません。Google Play servicesが提供する仕組みと、そのAPIやSDKの動作を確認します。Google Play servicesに対応しない環境での取得不可も、広告IDを削除した状態とは分けて扱います。
リセットでは広告IDが新しい値へ変わり、削除後に取得を試みるとゼロの文字列が返ることが公式に説明されています。ただし、この操作によって事業者やすべてのSDKが過去に保持したデータまで自動的に削除されたとは言えません。アプリ内設定やデータに関する請求など、別の仕組みを混同しないようにします。
利用者の選択を失わせるために別の識別子で再びつなぐのではなく、目的とポリシーを確認します。複数のアプリや会員情報と結びつける設計では、単に識別子の値を取得できるかだけでなく、その連結を行える条件を点検する必要があります。
ゼロ値・AD_ID権限・取得不可を切り分ける
Android 13以降を対象とするアプリの公式仕様では、対象API 33以上で広告IDを利用するアプリにAD_IDという通常権限の宣言が必要とされています。宣言がない場合はゼロの文字列に置き換わります。SDKのライブラリ側の宣言がアプリのマニフェストへマージされる場合もあるため、ソースの一か所ではなく、ビルド後に適用される宣言を確認します。
状態・観測 | 考えられる条件 | 追加で確認すること | 断定しないこと |
|---|---|---|---|
通常の広告IDを取得 | 取得に必要な環境・条件を満たした | 目的、選択、ポリシー、送信先 | 取得できたので利用が無条件に適法 |
ゼロの文字列 | 利用者による削除など | 利用者設定と試験条件 | ゼロはすべて削除した人 |
対象API 33以上でゼロ | AD_IDの未宣言が原因となる場合 | 対象API、最終マニフェスト、SDKの宣言 | ゼロだけから原因を一つに決定 |
取得エラー・未対応 | Google Play servicesやSDK、呼出し等の条件 | 対応状況、エラー、アプリ版、実行環境 | エラーは利用者の拒否と同じ |
AD_IDは通常権限であり、そのマニフェスト宣言を法的な同意やランタイムの許可ダイアログと読み替えないようにします。「宣言がある」「値が返る」「利用者の選択を尊重している」「法令とポリシーの条件を満たす」は、異なる確認事項です。
ゼロ値が急増した場合は、アプリ更新日、対象API、SDK更新、マニフェストの変更といった事実を並べ、再現条件を変えて確かめます。利用者の意思を推測したり、よくある原因というだけで宣言漏れを断定したりせず、確認済みと未確認を記録します。
広告と非広告の解析でSDKを点検する
アプリ自身の処理だけでなく、組み込んだSDKの取得・送信・連結も確認対象です。Google PlayのSDK要件では、AAIDと永続的な端末識別子を広告・解析目的でつなぐ例などを違反例として挙げ、第三者SDKを含むデータの扱いについて開発者の責任を説明しています。明示同意があればあらゆる連結が許される、という一括した説明は避けます。
台帳の項目 | 記入・確認する内容 | 確認する担当 |
|---|---|---|
SDKと版 | SDK名、導入版、更新日、用途 | アプリ開発担当 |
広告IDと権限 | 取得設定、最終AD_ID宣言、ゼロ時の挙動 | 開発担当とSDK提供者 |
送信先と連結 | 送る項目、受領者、連結するID、利用目的 | 開発・広告運用・データ担当 |
保持・削除・選択 | 保持条件、削除手順、リセット・選択反映 | データ担当と法務 |
説明と申告 | アプリ内説明、プライバシー説明、Data safety | 担当責任者と法務 |
架空の記入例は「計測SDK A/版は実物を確認/広告ID利用あり/受領先B/会員IDとの連結は未確認/削除設定の試験待ち/開発担当が回答」とします。未確認を空欄にするより、次に確認する相手と期限を残す方が改善に使えます。Data safetyの記載も、導入したSDKの実際の扱いと合わせて更新します。
非広告の解析だから何でも連結できる、広告だから必ずAAIDだけで十分、という判断はしません。利用する識別子と目的に対応する仕様・ポリシーを個別に照合します。SDKの説明が変わった場合は、社内の以前の承認だけで済ませず、設定と送信挙動を再確認しましょう。
Google Playポリシーと法令上の分類を分ける
Google Playのルールを守ることと、配信地域の法令に対応することは別です。日本の個人情報保護委員会のガイドラインQ&AのQ8-1は、Cookie等の端末識別子について、他の情報と容易に照合して特定の個人を識別できる場合は全体として個人情報となり、そうでない場合の個人関連情報の考え方も説明しています。
したがって、AAIDは常に個人情報ではない、常に同じ区分の情報だ、と決めつけません。保有情報、照合できる状態、提供する情報、受領先の扱いなどの事実を整理して確認します。これは日本の制度の説明です。カリフォルニア州に関係する処理はCCPAの適用・販売・共有の確認表のように、法域と事業上の役割を改めて判断します。
遠隔操作やクラウド上でアプリを動かす場合も、どこで取得・処理されるかを確認します。iPhoneからAndroidアプリを利用する方法で画面を見る端末と実行場所を分けて考え、閲覧端末のOSだけで識別子や送信先を判断しないようにしましょう。
観測件数と人数を分け、変更の確認先を残す
架空の100回の取得観測で、通常のIDが70件、ゼロ値が20件、エラーが10件だったとします。ゼロは全観測の20/100=20%です。成功した応答だけを分母にすれば20/90=約22.2%になります。同じ20件でも分母が異なるため、指標名と対象を明記します。
100観測は100人ではなく、70件は70人とも限りません。同じ端末の再試行やIDのリセットが含まれる可能性があり、ゼロ20件を「広告IDを削除した20人」とは呼べません。アプリ版、対象API、SDK、実行環境、試験で確認した利用者設定ごとに切り分け、欠測を個人の成果や意思へ読み替えないようにします。
仕様の将来については、2025年10月17日のPrivacy Sandboxの公式発表が、Androidを含む対象技術の終了方針を示しています。この発表だけから、AAIDの将来の廃止日や無期限存続、利用制限の解除を推論することはできません。
台帳に公式資料、確認日、対象アプリ版、試験結果、担当者、次の確認条件を残し、SDKや対象APIの更新時に再確認します。IDの取得率を高めること自体を目的にせず、利用者の選択と用途の条件を守り、どこまで観測できた指標なのかを説明できる状態を整えましょう。




