予算策定プロセス|年間スケジュールとローリング予測の進め方

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カテゴリ: マーケティング予算・KPI, フォーキャスト・管理会計
著者: 与謝秀作
予算策定は、目標を置くだけでなく、実行に必要な数量・単価・人員・時期を見積もり、承認可能な計画にする作業です。実務では、方針確認、前提整理、部門案、調整、承認、運用への引き渡しという6工程で、提出物と締切を決めると進めやすくなります。
このページは工程の実行を扱います。全社の責任分担は予算編成の解説、マーケティングの金額算出は予算の立て方を参照してください。
6工程と完了する成果物
工程 | 主な作業 | 成果物・確認者 |
|---|---|---|
1. 方針を確認 | 対象年度、事業目標、上限、優先投資を決める | 方針1枚/経営・財務 |
2. 前提を整理 | 既存契約、単価、数量、供給能力、実績を確認 | 共通前提表/各部門 |
3. 部門案を作る | 月別・施策別に費用と成果を積み上げる | 予算案と根拠資料/部門責任者 |
4. 全社調整 | 重複、資金制約、依存関係、下振れを点検 | 調整後の案・未決事項/財務 |
5. 承認 | 選択肢とリスクを示し、決裁を得る | 承認版・条件・履歴/決裁者 |
6. 運用へ移す | 実績の締め方、差異対応、見込み更新を決める | 予実表・担当・レビュー日程/運用担当 |
「提出した」だけでは工程完了にしません。数式の整合、証憑の有無、未確定条件、承認者の判断が必要です。未決事項は担当と解決期限を付けて管理します。
承認日から逆算する日程例
4月開始の会社が3月中に承認する架空例です。大きな投資や採用を伴う場合は、さらに前から検討する必要があります。
時期 | 実施すること | 会議前に用意するもの |
|---|---|---|
1月前半 | 経営方針と共通前提を共有 | 前年度実績・最新見込み |
1月後半 | 部門の数量・費用案を作る | 月別内訳、担当、見積もり |
2月前半 | 部門間の前提を照合 | 営業・制作・採用能力の比較 |
2月後半 | 代替案と下振れを検討 | 減額時にやめる活動、影響 |
3月前半 | 最終案を審査 | 決裁事項、リスク、条件 |
3月後半 | 承認版を固定し運用へ引き渡す | 原予算、締めルール、権限 |
締切を一度に設定するのではなく、見積もり取得や他部門の回答が必要な作業を先に置きます。会議で初めて数値を見る運用は、根拠確認が後ろへずれやすくなります。
前提は数値・根拠・責任者を一組にする
例えば新規受注売上1億円を置くなら、平均受注額、必要商談数、受注までの期間、営業の対応能力を確認します。前年の費用に同じ比率を掛けるだけでは、新商品の制作や採用時期の変化を反映できません。
前提 | 基準値・案 | 根拠 | 更新担当 |
|---|---|---|---|
人員 | 入社予定月と人数 | 採用計画、確定・未確定 | 部門責任者 |
単価 | 契約単価、更新条件 | 見積書・契約 | 購買担当 |
施策量 | 本数・開催数・獲得数 | 実行能力と過去実績 | 施策担当 |
売上の時期 | 受注・計上・入金 | 商談期間、契約条件 | 営業・財務 |
確定事項と仮定は分けます。根拠のない数値を小数点まで細かくしても、見積もりの確度は上がりません。
ローリング予測と予算改定を分ける
ローリング予測は、最新実績を取り込み、一定の将来期間の見込みを定期的に更新する運用です。承認済みの支出枠を自動で変えることとは異なります。ローリング予算という言葉を使う場合も、見込み更新だけなのか承認枠の更新まで含むのかを明記します。
管理する版 | 目的 | 変更の扱い |
|---|---|---|
原予算 | 最初の承認計画との比較 | 固定して保全 |
修正予算 | 正式に認められた配分・総額 | 承認日と理由を記録 |
実績 | 確定した対象期間の結果 | 締め・修正履歴を管理 |
最新見込み | 実績と将来予測による着地 | 前提と更新日を記録 |
架空例で年間予算1,200万円、確定済み3か月実績270万円、残り9か月の見込み900万円なら、年間見込みは1,170万円です。予算との差は−30万円ですが、承認予算そのものが1,170万円に変わったわけではありません。
調整会議と引き渡しの確認事項
調整会議では、何を減らせばどの成果や納期に影響するかを検討します。全費目を一律に削る前に、契約済み費用と裁量的な費用、短期施策と育成投資を分けます。営業・制作・開発の依存関係も合わせて確認してください。
引き渡し時は、版番号、承認日、更新担当、計上ルール、締め日、差異を説明する基準、変更の決裁者を確認します。Excelや共有表でも、小規模で担当と版が明確なら運用できます。集計の手戻り、複雑な権限、複数版の混乱が増えたら、具体的な負担を基にツール移行を検討します。
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