顧客分析の進め方|RFM・LTV・ペルソナを施策につなぐ方法

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カテゴリ: CRM・LTV・顧客管理, マーケティング戦略
著者: 与謝秀作
顧客分析は、購買や利用の記録、調査で得た理由を整理し、誰のどの課題に何をするかを決める作業です。RFMは購買の新しさ・頻度・金額、LTVは顧客価値、ペルソナは行動や判断の背景を考える手掛かりになります。どれか一つのスコアだけで顧客の価値や次の行動を断定しません。
実務では、目的→対象と期間→データ定義→分析→施策→検証の順で進めます。売上と利益、人数と企業数、90日間の観測と生涯の予測を混ぜないことが、使える分析の前提です。この記事では架空のRFM表と90日コホートの採算例で確認します。
目的に合わせて手法を選ぶ
手法 | 答えたい問い | その手法だけでは分からないこと |
|---|---|---|
RFM | 最近、何回、いくら買ったか | 購買の理由、粗利、将来の継続 |
LTV・コホート | 同じ条件の顧客が期間内にどんな価値を生むか | 未観測の生涯価値や単独施策の因果 |
ペルソナ・定性調査 | どの場面で何を判断し、何が妨げになるか | 全顧客の構成比や必ず効く訴求 |
ABC分析 | 売上等がどの顧客や商品に集中しているか | 集中の理由、将来価値、対応優先度のすべて |
売上の集中はABC分析、顧客の判断背景を調べる作業はペルソナの作成で扱います。分析結果を広告やコンテンツの実務へ変える方法はペルソナマーケティングを参照してください。RFMとペルソナは、同じ顧客を異なる目的で見る手段です。
分析前にデータの範囲を固定する
- 意思決定を一つ決める。再購入への案内、初回導入の支援、取引先の負担見直しなど、目的を具体化する。
- 顧客単位を決める。個人、会社、契約を混ぜず、統合・分割・匿名の扱いを記録する。
- 基準日と期間を決める。購入から経過した日数と、集計する注文の期間を統一する。
- 注文と金額の定義を決める。完了注文、取消、値引き、返品、送料、税をどう扱うか明記する。
- 欠損や重複を点検する。IDの結合漏れ、古い属性、未確定の注文は分析の限界として残す。
少額の購入が多い商材と、年1回の契約更新が中心の商材では、同じ日数で「最近買っていない」と評価できません。新規顧客は観測できた期間が短いので、既存顧客の頻度・金額とそのまま順位を比べないようにします。個人情報や停止希望を含む取扱いは、分析用にコピーするときも維持してください。
架空のRFM例:3段階の境界を明示する
基準日を2026年9月30日、集計を同年7月3日〜9月30日の90日とした架空例です。Rは基準日から直近の対象注文までの日数、Fは期間内の完了注文数、Mは値引き・返品控除後の税抜売上とします。この例に取消や返品はなく、全件がこの定義を満たす前提です。
説明用に3段階で分類します。Rは30日以内を3、31〜60日を2、61日以上を1。Fは6回以上を3、3〜5回を2、1〜2回を1。Mは60,000円以上を3、30,000〜59,999円を2、30,000円未満を1とします。これは固定した架空の境界で、三分位・四分位や5段階スコアではなく、一般的な最適基準でもありません。
顧客 | R:経過日数 / F:回数 | M:税抜売上 | R・F・Mスコア |
|---|---|---|---|
A | 5日 / 10回 | 100,000円 | 3・3・3 |
B | 15日 / 8回 | 80,000円 | 3・3・3 |
C | 25日 / 5回 | 60,000円 | 3・2・3 |
D | 45日 / 4回 | 40,000円 | 2・2・2 |
E | 65日 / 2回 | 20,000円 | 1・1・1 |
F | 85日 / 1回 | 10,000円 | 1・1・1 |
MicrosoftのRFM設定資料でも、対象期間、区分、売上金額の扱いを設定する必要があります。Rは日数が小さいほど新しいため、この例では高い点になります。Mの売上が大きくても、粗利や対応費用が不明なら利益の大きさは分かりません。
EやFを「離反確定」と呼ぶことはできません。購買周期、直近の利用状況、契約条件、季節性を調べます。A・Bへ一律の値引きを送ることも自動的な最適策ではありません。必要な支援や新たな利用目的があるかを確認し、粗利と継続への影響も見ます。
別の架空例:90日の価値と生涯LTVを分ける
次はRFMの6人とは別の、獲得時点をそろえた架空の100人の例です。全員を同じ90日間観測しました。税抜純売上100万円、売上原価控除後の粗利60万円、追加の顧客支援費10万円、獲得費30万円とします。支援費は粗利の計算へ重ねて含めていません。
項目 | 架空の計算 | 意味 |
|---|---|---|
90日貢献利益 | 600,000円 − 100,000円 = 500,000円 | この例で定義した支援費控除後の利益 |
1人当たり90日貢献利益 | 500,000円 ÷ 100人 = 5,000円 | 生涯の予測値ではない |
顧客獲得単価:CAC | 300,000円 ÷ 100人 = 3,000円 | 費用と新規顧客を同じ獲得集団でそろえる |
観測値の費用比 | 5,000円 ÷ 3,000円 ≈ 1.67 | 生涯LTV/CACや普遍的な採算基準ではない |
獲得費控除後の残額 | 500,000円 − 300,000円 = 200,000円 | 未計上の固定費や税を含む全社利益ではない |
売上、粗利、貢献利益をどれで評価するかは目的に合わせて宣言します。StripeのSaaSビジネス解説にある平均売上と解約率を使う簡易LTVの考え方も、値が安定する等の前提が必要です。売上ベースの推定を利益ベースのLTVへ無条件に置き換えず、解約率0の期間に式へ代入して無限の価値としないでください。
詳しい単位や費用範囲はLTVとCACの比較で確認できます。入金や取引総額を売上と同じに扱わないための基本はレベニュー・売上・利益の違いを参照してください。
分析を顧客に役立つ施策へ変える
例えば新規顧客の利用が止まっているなら、値引きの前に初期設定や使い方で困っていないかを調べます。購買頻度が高くても対応負担が大きいなら、支援内容、商品構成、契約条件を見直す仮説になります。金額だけでなく顧客の目的と負担を確認して、アップセルやクロスセルの必要性を判断します。
調査対象は購入額が大きい人だけに限定しません。新規、継続、利用停止、見送りなど目的に必要な違いを含め、発言と観察、仮説を分けます。B2Bでは利用者と承認者の説明が異なることもあります。調査人数を固定値で十分と判断せず、確認したい問いに合う方法を選んでください。
検証と更新のチェックリスト
- 基準日、集計期間、顧客・注文・金額の定義を保存したか。
- RFMの区分が3段階なのか5段階なのか、境界と同点の扱いが明確か。
- 継続率の分母は開始時点の対象顧客で、対象期間をそろえたか。
- 観測年齢の異なる集団を、同じ90日等へそろえて比較したか。
- 売上だけでなく、費用・粗利・支援負担・停止希望を見たか。
売上継続率のような指標は新規売上を既存顧客の継続へ足さないなど、指標ごとの対象を固定します。少数の集団や欠損が多いデータから大きな一般論を作らず、施策の変更、季節性、価格の影響も記録します。分析は一度の分類で終わらせず、顧客の状況が変わったときに更新できる運用にしてください。
次の検討とチームでの管理
関連する論点は、ABC分析の計算、ペルソナを施策へ使う方法、売上・利益・入金の違いで確認できます。
計画と営業接点をチームで共有する際は、Xtrategyの会社・担当者・取引の管理、プロジェクトの計画、月次の予算・実績管理を検討できます。必要な管理範囲はXtrategyの機能一覧で確認してください。




