KPIの具体例一覧|部門・職種別の計算式・分母・運用条件

公開日:
最終更新日:
カテゴリ: マーケティング予算・KPI, マーケ基礎用語
著者: 与謝秀作
KPIの具体例は、職種名だけで選ばず「その数字で何を判断するか」から選びます。KPIは重要な指標、目標値は目指す水準、実績は測定した値です。先行指標か結果指標かも、何の成果を評価するかで変わります。以下は候補であり、業界平均やそのまま使える目標値ではありません。
例を使う前に定義すること
名称が同じでも、対象者・分母・期間・成功条件が違えば比較できません。指標名、式、対象集合、集計期間、情報源、担当者、更新日を記録します。略語の意味が曖昧ならマーケティング用語と似た指標の違いを確認してから選びます。
営業・マーケティング・サポートの候補
職種・判断 | KPI候補 | 採用する定義例 | 期間・情報源 | 併せて見ること |
|---|---|---|---|---|
営業:案件の進展 | 受注率 | 受注件数÷同期間に決着した適格案件数 | 月次・案件台帳 | 案件規模、粗利益、解約 |
マーケティング:集客の成果 | セッションCVR | 成果ありセッション数÷対象セッション数 | 同期間・アクセス解析 | 有効成果、流入構成 |
広告担当:成果の費用 | CPA | 対象広告費÷定義済みアクション数 | 同期間・媒体と成果台帳 | 取消・重複・有効率 |
CS:顧客の継続 | 顧客解約率 | 期首対象顧客のうち期間内解約した顧客÷期首対象顧客 | 契約周期・顧客台帳 | 新規顧客、売上解約、理由 |
サポート:解決品質 | 解決までの時間 | 受付から定義済み解決までの時間 | 対象案件・サポート台帳 | 再開率、難度、未解決数 |
受注率の例では未決着案件を分母に混ぜません。架空の同月に決着した適格商談100件、受注30件なら受注率30%。平均契約額20万円なら受注契約額600万円ですが、その月に会計上計上した売上や年間目標の達成とは別です。
セッションCVRは、同じセッション内に成果が複数回起きても分子をそのままイベント件数へ置き換えません。Google広告の平均CPAも、定義したコンバージョンの費用指標です。問い合わせCPAと、新規有料顧客に対応する営業・マーケティング費用を含めたCACは区別します。
満足度と推奨意向も分ける
CSATは、採用する質問・尺度で肯定回答とした件数÷有効回答数など、方式を明示します。NPSの公式説明では、0〜10の推奨意向で9〜10の推奨者の割合から0〜6の批判者の割合を引きます。範囲は−100〜100のスコアで、満足者の割合や実際の紹介件数ではありません。回答者の構成と回答率も確認します。
採用・人事では母集団を固定する
指標 | 分子 | 分母 | 判定上の注意 |
|---|---|---|---|
内定承諾率 | 承諾した内定数 | 有効な提示内定数 | 未回答・辞退と判定日を記録 |
承諾者の入社割合 | 判定日までの実際入社者 | 同じ採用群の承諾者 | 入社予定と辞退を分ける |
離職率の一方式 | 期間内離職者 | 同期間の平均在籍者 | 平均の算出方法と離職対象を固定 |
期首コホート定着率 | 期首群のうち期末在籍者 | 期首の対象在籍者 | 途中入社者を分母へ足さない |
架空の採用群で有効内定20人、承諾16人、判定日までの入社14人なら、内定承諾率80%、承諾者の入社割合87.5%です。残る2人は入社待ちか辞退かを別記します。承諾を実際の入社と同じ成果にしません。
離職者÷平均在籍者という方式はCIPDの2020年報告書にも示されています。ここでは式の参考に限り、当時の平均値を現在の基準にはしません。架空の同一年で平均在籍210人、離職12人なら約5.7%。期首200人のうち190人が期末在籍なら定着率95%です。期首群の離職10人、当年入社者の離職2人という違いがあるため、定着率を100%−5.7%では計算できません。
開発・管理部門は速さと品質を並べる
DORAの変更リードタイムを採るならコミットから本番反映までと定義し、アプリ・サービスやチームの文脈で安定性と併読します。個人の速さだけを競わせる尺度にはしません。テストカバレッジは行・分岐などをテストで実行した範囲で、正しさを確認済みの割合ではありません。Googleのカバレッジ解説も、100%を目指すだけでは安全を保証できないと説明しています。
バックオフィスでは受付から完了までの処理時間、差戻し件数÷対象処理件数などが候補です。締め日・休日・案件難度をそろえ、速さだけで承認や安全確認を省かない条件を置きます。
個人目標へ落とす前の採用チェック
確認 | 採用できる状態 | 見直す例 |
|---|---|---|
本人が動かせるか | 行動範囲と共有成果を区別 | 市況や他部署だけで決まる |
測定できるか | 成功条件・対象・更新日が明確 | 未測定を0扱いする |
副作用がないか | 品質・顧客利益・安全を併読 | 件数増だけで評価する |
架空のコンテンツ担当なら公開本数だけでなく、有効な流入や問い合わせ内容も確認します。選ぶ数は意思決定に必要な最小限とし、一律に何個とは決めません。候補を試験集計し、未達や急変が出たらKPIの異常診断とレビュー手順で、計測・構成変化・施策の仮説を切り分けます。
複数施策のKPIやリスク、月次比較をまとめて把握したい場合は、Xtrategyのプロジェクトポートフォリオの機能を確認できます。




