地図デザインの仕事を始めるには|受注・制作・利用条件の確認

地図デザインの仕事は、道路や建物を描くだけでなく、読者が必要な場所にたどり着ける情報を選び、使える大きさでまとめる仕事です。受注前に「誰が、どこから、何で来るか」「どこに掲載するか」「誰が現地情報を確認するか」を決めましょう。料金は描画の時間だけでなく、調査・確認・修正まで含めて設計します。
受注する範囲を決める
サービス | 納品内容の例 | 別途確認する作業 |
|---|---|---|
簡易案内図 | 駅から店舗への道順と目印 | 実地調査、移転後の更新 |
施設案内 | 入口・受付・駐車場等の配置 | 立入条件、バリアフリー経路の確認 |
観光・イベントマップ | 地点の整理、アイコン、説明 | 取材、写真、掲載店の承諾 |
印刷物の一部 | 指定枠内の地図データ | チラシ全体の制作、印刷入稿 |
使うソフトは、発注者が必要とする形式と修正方法に合わせます。Illustratorの編集データが必要な案件と、完成したPDF・PNGでよい案件を分け、「このソフトが全案件で必須」とは考えないようにします。
地図素材の利用条件を先に調べる
Googleマップは商用利用がすべて禁止されるわけではありません。Googleの利用指針では、一定条件下の販促物における補助的な道案内などを認める一方、広告の主たる表現等には制限があります。用途・部数・帰属表示を確認し、Google EarthやStreet Viewの条件とも混同しないでください。
地図を描き直したりトレースしたりしても、利用条件の確認が不要になるとは限りません。国土地理院やOpenStreetMap等を使う場合も、その素材と用途に対応する規約・出典表示・許諾条件を調べます。依頼主から渡された画像も、提供されたことだけで再利用可能と判断しないようにします。
最初に埋める制作ブリーフ
掲載先/仕上がり寸法/部数:[ ]
来訪者と移動手段:[ ]
出発点・出口・目的地・入口:[ ]
必ず載せる目印/省略してよい情報:[ ]
方位・距離・縮尺の表し方:[ ]
使用素材と権利確認の担当:[ ]
現地情報の確認者と確認日:[ ]
納品形式・修正回数・利用媒体:[ ]
案内図で道路の長さを省略するなら、正確な縮尺図に見える表現を避けます。「徒歩○分」などの情報は経路・確認方法を依頼主とそろえ、歩行条件によって違うことを考慮します。自宅や非公開の入口など、公開すべきでない位置情報も確認してください。
工数から見積もる架空例
項目 | 作例の前提 | 金額 |
|---|---|---|
調査・構成 | 1時間×3,000円 | 3,000円 |
作図 | 2時間×3,000円 | 6,000円 |
校正・修正 | 1時間×3,000円 | 3,000円 |
使用素材 | 利用可能な素材費 | 1,000円 |
計 | 税・交通費・販売手数料を含めない | 13,000円 |
これは市場相場ではなく計算方法の例です。交通費、印刷費、追加修正、税、仲介手数料の負担を別に決めます。一定件数のレビューがあれば値上げしても受注が続くとは限りません。実際の作業時間と修正理由を記録し、次回の範囲や価格へ反映します。
ラフから納品までの校正
- 手描きのラフ等で、経路・入口・目印の選択を確認する。
- 清書前に、店名・出口番号・連絡先等の文字情報を依頼主が確認する。
- 仕上がり寸法で印刷・表示し、文字や線が読めるか確認する。
- 方位、道の接続、橋や踏切、入口の位置を再確認する。
- 承認済み版と元データの扱い、更新の依頼方法を共有する。
地図に詳しくない人が、出発点から目的地まで説明できるか試すと、制作者には見えにくい省略が分かります。ただし試した結果だけで経路の安全性や通行可能性を保証せず、現地条件を確認する担当を明確にします。
最初の作品と募集文を作る
実績がない場合は、架空の店舗を使った自主制作として、簡易図と情報量の多い図を用意できます。実在する依頼主の実績に見せず、掲載サイズ、想定読者、制作範囲、工数を添えます。募集文には、含む作業・含まない作業・必要資料・納期の起点を明示し、安さだけで受けられる範囲を広げすぎないようにしましょう。
掲載媒体や二次利用、制作実績として公開できる範囲も合意しておきます。権利の契約は文化庁の案内を確認し、受注後に用途が増えた場合の連絡手順を決めてください。
関連するガイド
出典・確認先
公開情報は2026年9月30日に確認。個別の条件・最新の案内は各リンク先で確認してください。




