マーケティング施策の進捗管理|タスクと実績・発注残を紐づける記入例

公開日:
最終更新日:
カテゴリ: キャンペーン管理, マーケティング予算・KPI
著者: 与謝秀作
施策の進捗管理では、仕事の状態と費用を同じ施策IDで追えることが大切です。ただし、進捗率と予算消化率を並べるだけで順調・危険・見積過大とは判断できません。受け入れ条件、計上時点、発注残、残作業の見込みまで確認します。以下は全て架空の税抜JPY例で、会計処理の基準や実績を示すものではありません。
施策・タスク・費用のIDを分ける
施策は意思決定の単位、タスクは成果物を作る単位、費用は根拠を照合する明細として分けます。名前だけで結ぶと、名称変更や似た案件で取り違えが起きます。施策IDを共通キーにし、タスクIDと費用IDを別に持ちます。
次の明細は施策C26001の教材です。費用行E01は計上済み費用をまとめた行で、E02の元発注から既に計上した40,000円を含みます。E02は元発注総額ではなく、その未計上残80,000円です。区分の意味は後の節で確認します。
費用ID | 施策ID | 関連タスクID | 区分 | JPY金額 | 証拠・更新日 |
|---|---|---|---|---|---|
E01 | C26001 | T01/T02(実績集計) | 計上済み | 100000 | 計上根拠。うち40,000はE02元発注分。10/10 |
E02 | C26001 | T02 | 未計上の発注残 | 80000 | 元発注120,000−計上済み40,000。10/10 |
E03 | C26001 | T03 | 未発注の追加見込 | 90000 | 残作業の見積根拠。10/10 |
実務では請求・発注・配賦の元IDも参照できるようにします。費用が複数タスクに関係する場合は、同じ費用をタスクごとに丸ごと複製しません。関連付けの表と集計対象の金額明細を分ける方法もあります。
施策に目的、期間、責任者、承認予算を置きます。期間を一律に1か月〜1四半期へ限定したり、全ての成果を一つの指標へ押し込んだりする必要はありません。比較や判断に使う範囲が説明できることを優先します。
完了条件と進捗の測り方を定義する
「作業中50%、レビュー中80%」のような状態への割合割当は、便宜的な表示であり、工数や費用の出来高を測った値ではありません。状態と進捗の測定方法を別に定義します。
タスクID | 予定工数h | 状態 | 受入完了か | 成果物・確認者 |
|---|---|---|---|---|
T01 | 20 | 完了 | はい | ブリーフ確定、責任者確認 |
T02 | 30 | レビュー中 | いいえ | 素材初稿、指摘対応待ち |
T03 | 50 | 未着手 | いいえ | ページ未作成 |
この教材では予定工数合計が20+30+50=100時間、受け入れ済みの予定工数が20時間なので、受入済み予定工数の比率は20%です。単純な完了件数なら1÷3≈33.3%です。どちらも実際に使った時間ではなく、費用の出来高でもありません。
重みを使うなら、着手前に重みの基準を決め、分割や追加があったときの分母変更を残します。都合よく進捗を上げるために完了した仕事だけ細分化しないでください。レビュー中の成果物に残る作業量は、割合より具体的な指摘と受け入れ条件で確認できます。
計上済み・発注残・追加見込みを分ける
計上済み、契約したがまだ計上していない額、未発注の残作業見積を分けます。支払済み現金も別の系列です。計上条件や締め日は自社の経理運用と合わせ、同じ対象範囲・税基準で比較します。
項目 | 教材の金額・計算 | 意味 |
|---|---|---|
承認予算 | 300,000円 | 変更承認前の基準 |
計上済み | 100,000円 | 現金支払とは別 |
未計上の発注残 | 80,000円 | 元発注の計上済み分を控除 |
未発注の追加見込 | 90,000円 | 残作業で新たに必要な費用 |
完了時見込 | 100,000+80,000+90,000=270,000円 | 重複しない3区分の合計 |
予算との差 | 300,000−270,000=30,000円 | 余裕の見込。自由な流用枠ではない |
現金支払済み | 50,000円(別系列) | 完了時見込へ追加しない |
E01の100,000円には、元発注120,000円のうち計上済み40,000円が含まれます。ここへ元発注120,000円を足すと、その40,000円を重複計上します。未計上残80,000円だけを足し、追加で必要な90,000円も既存発注と重ならないか確認します。
見積や契約が変われば発注残も変わります。請求が届くまで更新しないのではなく、根拠を伴う見込みとして日付を残します。速報と確定が違うときは、差額を無言で上書きしません。
共通費を重複なく配賦して集計する
共通費は、元費用を各施策へ重複して貼るのではなく、合意した配賦根拠に基づいて分け、元の額へ照合します。次の配賦表は独立した教材で、前の270,000円の内訳へ追加する表ではありません。
元費用ID | 配賦先 | JPY配賦額 | 根拠 |
|---|---|---|---|
INV09 | C26001 | 60000 | 合意した使用量2/3 |
INV09 | C26002 | 30000 | 合意した使用量1/3 |
元請求90,000円に対し、60,000+30,000=90,000円で一致します。配賦基準を変えた場合は理由と適用日を残します。金額の正確さと紐付けの正確さはどちらも必要で、片方を省いてよいわけではありません。
Excelでは、最初の「費用ID・施策ID・関連タスクID・区分・JPY金額・証拠」の6列表をA1:F4へ置きます。1行目が見出し、B列が施策ID、D列が区分、E列が金額です。H1へ「集計施策ID」、セルH2へC26001を入力します。
計上済み: =SUMIFS($E$2:$E$4,$B$2:$B$4,$H2,$D$2:$D$4,"計上済み") →100000
発注残: =SUMIFS($E$2:$E$4,$B$2:$B$4,$H2,$D$2:$D$4,"未計上の発注残") →80000
追加見込: =SUMIFS($E$2:$E$4,$B$2:$B$4,$H2,$D$2:$D$4,"未発注の追加見込") →90000
式の条件文字列はD列と全文一致させます。H2はセル番地です。範囲はいずれも2〜4行の3行でそろえ、行を追加した場合は同じ範囲へ拡張します。3結果の合計は270000です。
進捗と費用の差を理由付きで判断する
受入が進んでいても計上額が少ない場合は、費用計上基準、費用区分、対象作業、締め日の違い、未計上費用の有無を確認します。見積過大とは限りません。逆に計上が受入より先行する場合も、対象作業や計上基準を確認します。前払いは現金支払が先行する例であり、前払いだけで費用計上時点が決まるわけではありません。
観察 | 確かめること | 判断の入口 |
|---|---|---|
受入が進み、計上が少ない | 発注残・未請求・残作業 | 完了時見込で余裕を確認 |
受入が遅く、計上が多い | 費用計上基準・費用区分・対象作業・差戻し | 残作業と納期/費用の見込を更新 |
進捗も費用も予定どおり | 品質・成果定義・残る前提 | 問題なしを断定せず受入条件を確認 |
完了見込が予算超過 | 重複・追加範囲・単価/数量変更 | 削減/範囲変更/再承認を判断 |
二つの割合の差が20ポイントなら報告、といった基準を使う場合も、自分たちのリスク許容に合わせた例として定義します。必須承認の欠落、期限に間に合わない見込み、承認上限超過のように、割合とは別の重要条件を見落とさないでください。
予算を再配分するなら、未計上発注残と追加見込みを確認し、取消条件や承認の範囲を照らします。余裕見込み30,000円が、そのまま別施策へ発注できる金額になるわけではありません。
週次の更新・照合・変更判断を決める
毎週の基準日時に、タスクの受け入れ状態、費用の根拠、発注残、追加見込みを更新し、差分を照合します。重大な誤りや上限超過の見込みは週次を待たずに共有します。更新担当と確認者、代行者も決めます。
- 新しい費用は施策IDと根拠IDを付ける。
- 請求・計上が進んだら、同じ発注の残額を減らす。
- 追加見込みが発注に変わったら区分を移し、両方に残さない。
- 訂正と配賦変更は理由・適用日を残す。
- 週次表は時点の要約とし、元明細を独立して二重入力しない。
会議の結論は、確認すること、責任者、期限、判断者で残します。「予算が少ないから順調」ではなく、「未請求分を山田が確認し、完了時見込みを更新した後で再配分を判断する」と書ければ、次の行動が明確になります。
Xtrategyのプロジェクト管理では、施策コスト、タスク進行、ワークフロー、月次計画をプロジェクト単位で確認できます。必要な管理項目と更新の担当を整理したうえで、自分たちの運用に合うかを確かめてください。
参考資料(2026年10月10日確認)
関連記事




