パレートの法則は必ず成り立つ?80対20の反例と確かめ方

公開日:
最終更新日:
カテゴリ: マーケティング予算・KPI
著者: 与謝秀作
パレートの法則は、成果が一部の項目へ集中しているかを考える手がかりです。どの市場や組織も必ず80対20になる規則ではありません。数字を当てはめる前に、何を一項目とし、どの成果を、どの期間で測るのかをそろえる必要があります。
80対20はデータで確かめる目安
「少数が大半を占める」という見方と、「上位20%が必ず80%を占める」という主張は異なります。名称の経緯について、Juran自身の1974年の論考は、重要な少数への着目と名称をめぐる事情を説明しています。歴史的な考え方を、すべての分布の証明に置き換えないことが大切です。
顧客や商品の金額を大きい順に並べ、上位何件が合計の何%を占めるかを計算します。偏りが弱いという結果も、失敗ではありません。少数へ集中させる前提が合わないと分かること自体が判断材料になります。
項目の割合と成果の割合は別の分母
商品10個のうち上位2個なら、項目の割合は2÷10=20%です。その2個の売上合計が800、全商品の売上が1,000なら、売上の割合は800÷1,000=80%です。分母も単位も異なる割合を並べています。
確かめる割合 | 分子 | 分母 |
|---|---|---|
上位項目の割合 | 上位の商品数 | 対象の商品数 |
上位売上の割合 | 上位商品の売上合計 | 対象商品の売上合計 |
上位粗利の割合 | 選んだ商品の粗利合計 | 対象商品の粗利合計 |
二つの割合を足して100%にする必要はありません。上位20%が50%を占めることもあります。80%の売上に達する商品数を逆に探す方法も使えます。
同じ10項目でも20%・50%・80%になる
以下は実際の市場データではなく、計算用の架空データです。どの組も10項目、合計1,000にそろえています。上位2項目の割合はどれも20%ですが、成果の集中度は違います。
分布 | 10項目の値 | 上位2項目の成果割合 |
|---|---|---|
均等 | 100を10項目 | 200÷1,000=20% |
中程度の集中 | 300、200、100、100、100、50、50、40、30、30 | 500÷1,000=50% |
強い集中 | 500、300、25を8項目 | 800÷1,000=80% |
この違いを無視して全組で上位2項目だけへ投資すると、均等な組では80%の成果を担う残りを軽視することになります。逆に、強い集中があっても、それだけで追加投資先が決まるわけではありません。将来の需要と追加費用も必要です。
期間・単位・売上と粗利で結果は変わる
同じ顧客でも、大口の一回購入を含む月と含まない月では順位が変わります。人単位か法人単位か、返品を差し引くか、休眠顧客を含めるかでも違います。比較するなら集計条件を固定し、欠損や重複も確認します。
売上順に並べた上位が、粗利順でも上位とは限りません。粗利が小さい商品、支援費がかかる顧客もあります。粗利合計が0や負の場合は、累積割合が直感に合わないことがあるため、金額と符号を併記し、通常の売上割合と同じ読み方をしないようにします。
ロングテールと上位集中は両立しうる
少数の人気商品が大きな売上を占めながら、多数の小規模商品を合わせた売上も重要、という分布はありえます。ロングテールをパレートの法則の単純な反対と捉える必要はありません。上位と残りのどちらも、合計額・費用・供給の価値を確かめます。
商材が日用品だから均等になる、といった分類だけの推定も避けます。顧客層、販路、購買頻度、対象期間によって分布は変わります。尾の長さだけで採算は分からず、保管・制作・対応の費用を含めて考えます。
働きアリの話と、配分の判断を混ぜない
アリの活動や交代を観察する研究は、売上の累積分布を測る分析とは対象が違います。北海道大学の2016年の研究発表では、疲労を置いたシミュレーションと実際のコロニーの観察が説明されています。このことは、人間の能力が固定2:6:2に分かれる証明ではありません。
- 期間・対象単位・成果指標を決め、金額を確認してから割合を出す。
- 上位と残りの順位変化、採算、追加対応の費用を確認する。
- 過去の集中と、施策を増やした場合の効果を分けて考える。
研究の読み方は働きアリの研究と2:6:2の違い、目標と能力の判断はKPIの進捗と回復可能性、顧客への配分は売上・粗利・対応費で考える優先順位で確認できます。




