ROIと費用対効果の関係|計算方法と評価のポイント

公開日:
最終更新日:
カテゴリ: マーケティング予算・KPI, マーケ基礎用語
著者: 与謝秀作

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著者: 与謝秀作
「費用対効果」と「ROI」は、どちらも「かけたコストに対してどれだけの成果が得られたか」を表す言葉として、ビジネスの現場で日常的に使われます。ほぼ同じ意味で使われることも多い一方で、厳密には両者は同じものではありません。費用対効果という大きな考え方の中に、ROIという具体的な計算指標が含まれている、という関係にあります。この記事では、ROIと費用対効果の関係を整理したうえで、ROIの計算方法と、結果を正しく評価するためのポイントを解説します。
まず結論から言うと、「費用対効果」は概念、「ROI」はその概念を数値化する指標の一つ、という関係です。つまり両者は対立する別物ではなく、費用対効果という考え方を測るための具体的なものさしがROIだと捉えると分かりやすくなります。
費用対効果(コストパフォーマンス)とは、ある施策や投資に対して、かけた費用に見合うだけの効果が得られているかを評価する考え方です。英語では「Cost-Effectiveness」とも表現されます。ここでいう「効果」は、売上や利益といった金額で測れるものだけでなく、「認知度の向上」「業務時間の削減」「顧客満足度の改善」など、必ずしも金額に換算しにくいものも含む広い概念です。
一方ROIは「Return On Investment」の略で、日本語では「投資収益率」「投資利益率」と訳されます。投資した金額に対して、どれだけの利益(リターン)を生み出したかをパーセンテージで表す指標です。費用対効果という曖昧になりがちな概念を、「利益÷投資額」という明確な計算式に落とし込んだものがROIだと言えます。金額で測れる効果を扱う点が、より広い費用対効果との違いです。
したがって、「この施策は費用対効果が高い」という定性的な評価を、「ROIは150%だった」と定量的に裏づけるのがROIの役割です。感覚ではなく数字で語れるようになるため、投資判断や経営層への報告で力を発揮します。
ROIは、投資によって得られた利益を投資額で割って算出します。基本となる計算式は次のとおりです。
ROI(%)= 利益 ÷ 投資額 × 100
ここでの「利益」は、売上そのものではなく「売上から原価やコストを差し引いた利益」である点に注意が必要です。より丁寧に書くと「(得られた売上 − 投資額を含むコスト)÷ 投資額 × 100」となります。ROIが100%を超えていれば投資額以上の利益が出ており、100%を下回っていれば投資を回収しきれていない、と判断できます。
たとえば、ある広告施策に100万円を投資し、その施策によって250万円の売上が生まれたとします。この売上に対する原価などのコストが100万円だった場合、利益は「250万円 − 100万円(原価)− 100万円(広告費)= 50万円」です。これをROIの式に当てはめると「50万円 ÷ 100万円 × 100 = 50%」となり、投資額の半分しか回収できていないことが分かります。
一方、同じ100万円の投資で利益が150万円生まれたなら、ROIは「150万円 ÷ 100万円 × 100 = 150%」です。数字で比較することで、どの施策がより効率よく利益を生んでいるかを客観的に判断できます。
費用対効果を測る指標はROIだけではありません。混同しやすい指標との違いも押さえておきましょう。
ROASが高くても、原価率が高ければROIは低くなることがあります。「売上は伸びているのに利益が残らない」という事態を避けるには、売上ベースのROASだけでなく、利益ベースのROIまで見ることが重要です。
ROIは強力な指標ですが、数字だけを錵呑みにすると判断を誤ることがあります。費用対効果を正しく評価するために、次の4つの観点を押さえておきましょう。
ROIは計測する期間によって大きく変わります。とくにブランディングや認知拡大、コンテンツ資産の構築といった施策は、効果が表れるまでに時間がかかるため、短期間で区切ると低く見えがちです。施策の性質に応じて、適切な期間でROIを評価することが大切です。
ROIは利益という金額で測るため、「ブランド好感度の向上」「顧客ロイヤルティの強化」といった定性的な効果は計算式に乗りません。ROIの数字が低くても、長期的な資産価値を生んでいる施策もあります。費用対効果という広い視点で見るなら、ROIで測れる効果と測れない効果を分けて評価する姿勢が必要です。
ROIの計算では、広告費だけを投資額とするのか、人件費やツール費用まで含めるのかで結果が変わります。施策同士を比較するときは、コストの範囲を揃えなければ正しい比較になりません。「何を投資額に含めるか」を事前にルール化しておくことが、評価の信頼性を担保します。
ROIはあくまで「率(割合)」です。ROIが高くても投資額が小さければ、得られる利益の絶対額は限られます。逆にROIがやや低くても、大きな投資で大きな利益額を生む施策もあります。率と絶対額の両面から見て、事業全体への貢献度を判断しましょう。
ROIの計算式は「利益 ÷ 投資額」なので、改善の方向は大きく2つです。分子の「利益」を増やすか、分母の「投資額(コスト)」を減らすか、です。
実務では「効果の低い施策をやめて、ROIの高い施策に予算を寄せる」というメリハリのある配分が基本になります。そのためにも、施策ごとにROIを計測し、定期的に見直すサイクルを回すことが欠かせません。
費用対効果は「コストに見合う成果が出ているか」という考え方であり、ROIはそれを「利益 ÷ 投資額 × 100」という割合で定量化した指標です。ROIは費用対効果を数字で語るための代表的なものさしですが、計測期間・金額化できない効果・コストの範囲・投資規模といった点を踏まえて評価する必要があります。
まずは自社の主要な施策について、コストの範囲を揃えてROIを計算してみることから始めましょう。数字で費用対効果を可視化できれば、感覚に頼らない投資判断と、予算配分の最適化につながっていきます。