社会保険料とは?給与明細の種類・計算の基礎・金額が変わる理由

公開日:
最終更新日:
カテゴリ: 転職の不安・課題解決
著者: 与謝秀作
社会保険料とは、病気、老後、失業などのリスクを社会全体で支える公的保険の費用です。会社員の給与明細では、健康保険、厚生年金、雇用保険などの本人負担が控除されます。ただし、全部を同じ「月給×料率」で計算するわけではありません。
この記事は、日本の会社の健康保険・厚生年金等に加入する従業員が、明細の控除を確かめるための案内です。2026年10月21日に公表資料を確認しました。扶養・加入要件の個別判定や退職後の国民健康保険の試算とは分けて使ってください。
明細に出る保険と、本人が負担しない保険
広い意味の社会保険には、健康・年金・介護に加え、労災・雇用の労働保険も含まれます。会社で「社会保険」と言うと健康保険・厚生年金を指す場合もあるため、何を含むかを確認しましょう。
項目 | 明細を見るときのポイント |
|---|---|
健康保険 | 加入する保険者・適用料率と、本人負担額を確認 |
厚生年金 | 標準報酬月額を基礎に計算する本人分 |
介護保険 | 医療保険に加入する40〜64歳の第2号被保険者が対象。65歳以降の徴収とは区別 |
雇用保険 | その月に支払われる対象賃金と、事業区分の本人料率を確認 |
労災保険 | 雇用される労働者の保険料は全額事業主負担。通常の本人控除とは別 |
2026年4月分からは、医療保険とあわせて子ども・子育て支援金の拠出も始まりました。会社のみが負担する「子ども・子育て拠出金」と名前が似ていますが別制度です。健康保険と合算表示される場合もあるので、欄がないことだけで未徴収とは判断しません。
所得税・住民税や社宅費、組合費も控除欄に並ぶことがありますが、保険料そのものではありません。総支給と銀行振込額の違いは、額面・手取り・年収の整理で確認できます。
計算する前に「基礎になる金額」を聞く
健康保険・厚生年金の毎月の保険料は、原則として標準報酬月額という等級に当てはめた金額を使います。明細の基本給や、その月の手取りを直接掛け算するものではありません。通勤手当も報酬に含まれるため、税の非課税扱いと混同しないことが大切です。
一方、雇用保険は支払賃金が計算の基礎です。「健康保険と雇用保険で割り戻した給与額が違う」というだけでは誤りとは言えません。賞与についても標準賞与額等の別の計算があるため、通常月の明細と混ぜずに確認します。
自分の標準報酬月額が分からなければ、給与担当へ「健康保険と厚生年金それぞれの適用等級・月額、何月分の保険料か」を聞きます。上限等が異なるため、両制度で必ず同じ額になるとも限りません。
月額30万円を基礎にした本人負担の計算例
次は、2026年10月分、協会けんぽ東京、40歳未満、一般の事業の従業員で、健康保険・厚生年金の標準報酬月額がいずれも30万円、雇用保険の対象賃金も30万円と仮定した例です。賞与、免除、過去月の精算はなく、厚生年金基金加入員ではないものとします。
項目 | 計算 | 本人負担 |
|---|---|---|
健康保険 | 300,000円×9.85%÷2 | 14,775円 |
厚生年金 | 300,000円×18.3%÷2 | 27,450円 |
子ども・子育て支援金 | 300,000円×0.23%÷2 | 345円 |
雇用保険 | 300,000円×0.5% | 1,500円 |
合計 | 上記の本人分のみ | 44,070円 |
料率は協会けんぽ東京の2026年度保険料額表と厚生労働省の2026年度雇用保険料率によります。健康保険等の表の料率は労使合計で、雇用保険の0.5%は本人分です。全部をさらに半分にする計算はしません。
同じ設定で介護保険第2号被保険者なら、介護保険の本人分は300,000円×1.62%÷2=2,430円で、合計は46,500円です。実際は加入先、年齢、免除等、端数処理によって異なります。この合計には税金やその他控除は含まず、給与30万円から引くだけで手取りが決まる例ではありません。
給料が変わっていないのに控除が変わる理由
変化の候補 | 確認すること |
|---|---|
標準報酬月額の見直し | 定時決定・随時改定のどちらで、何月分から変わったか |
料率の改定 | 保険者の当年度の表と、その適用月 |
年齢による扱い | 介護保険などの対象になった時期 |
入退社・休業・精算 | 資格取得喪失、免除、過去分調整の有無 |
定時決定は原則として4〜6月に受けた報酬を基に見直し、9月分から適用します。対象月や支払基礎日数等には例外があります。昇給等による随時改定も要件付きで、残業代が1か月増えただけで、すべて翌月から同率で上がる仕組みではありません。
また「何月分の保険料」と「何月支給の給与から控除するか」は別です。会社の徴収時期を確認し、同じ月同士を比べます。無給の休職中の支払いを知りたい人は、休職中の社会保険料で別に整理しています。
給与担当へ確認するときのメモ
「今月の健康保険料について、適用する保険者・料率・標準報酬月額と、何月分を控除したものか教えてください。前月との差に改定や精算が含まれるかも確認したいです。」
明細を前月分と並べ、気になる項目を一つずつ特定すると説明を受けやすくなります。求人を比べる場面では料率だけでなく、基本給・手当・賞与と働く条件もそろえて考えましょう。月の受取額を考える例は、手取り30万円の給与明細と家計を参照してください。




