CACとは?顧客獲得コストの計算式・費用範囲と集計方法

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カテゴリ: マーケ基礎用語, マーケティング予算・KPI
著者: 与謝秀作
CACは、対象とした獲得費用を一意の新規顧客数で割った顧客獲得コストです。式は「対象獲得費用÷新規顧客数」。ただし、広告費だけか、人件費や制作費も含むかで値は変わります。計算を始める前に、費用・顧客・期間の集計ルールを決めましょう。
何を費用として含めるかを固定する
媒体費だけのCACと、営業・マーケティング費を配賦したCACは、答える問いが違います。前者は媒体支出に対する新規獲得、後者は採用した費用範囲での顧客獲得採算を見ます。「全ての営業費を入れれば正確」と考えると、既存顧客の維持・追加販売活動まで混入する場合があります。
StripeのCAC解説も、獲得に使う費用と新規顧客の対応を扱っています。自社の費用配賦は、会計上の唯一の標準ではなく、継続して再現できる管理ルールとして記録してください。
費目 | 集計の考え方 | 残す根拠 |
|---|---|---|
広告・代理店費 | 新規獲得分を対象にし、維持施策を分ける | 請求書・施策目的・対象期間 |
営業・制作の人件費 | 新規獲得の稼働を配賦する | 稼働記録・配賦率 |
コンテンツ・ツール・外注 | 対象獲得活動への対応を決める | プロジェクト・契約・按分ルール |
紹介報酬・イベント | 無料チャネル扱いにせず実費を確認する | 支払条件・対象顧客 |
顧客維持・共通費 | 除外または配賦の理由を明示する | 部門・活動・集計変更の履歴 |
たとえば別の架空配賦例で、共通人件費50万円のうち、新規獲得の稼働が60%なら対象は30万円、残る20万円は維持等へ配賦します。60%は推奨比率ではなく、架空の記録による仮定です。下のチャネル例の総費用に、この30万円を自動的に追加するものではありません。
分母は一意の新規顧客数にする
有料顧客を対象にするなら、無料登録、トライアル、商談化だけを新規顧客に含めません。1社が複数の契約や担当者を持つ場合の単位、解約後の再開を新規とするか、返金・取消の扱いも先に決めます。分母が0ならCACは計算できず、費用0円という意味でもありません。
購入件数を新規顧客数と取り違えると、既存顧客の再購入でCACが低く見えます。広告成果から顧客までの接続は、CACとCPAの分母・費用範囲の違いで確認できます。
架空例:チャネルCACを単純平均しない
同じ成熟した獲得期間で、広告経由に50万円と20社、自然検索・紹介等の非広告経由に30万円と30社を対応させた架空例です。顧客の帰属は重複なしで、全体は50社。費用は同じ配賦方針で算出済みとします。
集計範囲 | 対象獲得費用 | 新規顧客 | CAC |
|---|---|---|---|
Paid | 500,000円 | 20社 | 25,000円/社 |
Organic等の非広告 | 300,000円 | 30社 | 10,000円/社 |
Blended・全体 | 800,000円 | 50社 | 16,000円/社 |
全体CACは800,000÷50=16,000円です。チャネルの25,000円と10,000円を単純平均した17,500円ではありません。顧客数が違うため、合計費用を合計顧客数で割ります。広告管理画面ごとの顧客帰属が重なる場合は、この足し算の前に全体の一意数と照合が必要です。
Organicが常に安いわけではありません。制作、人件費、紹介報酬等を入れると評価は変わります。広告から自然検索へ予算を移すだけでCACが改善すると決めず、追加費用と増分顧客を確認しましょう。
同じ暦月でも費用と受注は対応しない
今月受注した顧客が数か月前の獲得活動に由来するなら、今月の費用だけで割った値は費用対応がずれます。逆に、今月の活動からまだ受注が出ていない場合、短い観測期間ではCACが高く見えます。
- 費用発生月とリード・顧客獲得の時点を区別する。
- 成熟した獲得コホート、または明示した期間集計ルールを採用する。
- 未確定の受注が残る値は暫定として、観測期限を残す。
- 長期資産となる制作費や共通費は、配賦方法と変更理由を記録する。
四半期や年次で平均すれば変動は小さくなりますが、期間を延ばすだけで因果的な費用対応が保証されるわけではありません。過去との比較では、顧客定義や配賦ルールの変更も注記します。
CACの変化を分けて判断する
費用が増えたのか、顧客が減ったのか、チャネル構成が変わったのかを先に調べます。LTVが上がってもCACそのものは下がりません。顧客価値とのバランスが変わるので、別の指標として評価します。
顧客生涯価値の解説を参照する際も、売上ベースか粗利ベースか、獲得費控除前かを固定します。LTV/CAC・回収期間・資金繰りの判断へ進み、比率だけで会社全体の利益や最適投資額を決めないようにしましょう。
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