ファネル分析とは?遷移率・離脱率の計算とGA4での改善手順

ファネル分析は、同じ条件で定義した利用者が、入口から目的達成までの段階をどこまで進んだかを調べる方法です。遷移率は「次の段階に進んだ対象数÷直前の段階の対象数」、離脱率は1−遷移率で計算します。ただし、同じ対象集団・順序・期間で段階がつながっていることが前提です。独立した月間件数を並べただけでは、正しい遷移率になりません。
最初に対象・単位・成功条件を固定する
利用者、セッション、イベント件数を途中で混ぜないようにします。たとえば「商品を見たユーザー数」と「カート追加イベント件数」を割ると、1人の複数回操作が分子に入り、ユーザーの遷移率とは違う数値になります。KPIの定義と集計条件を明文化してから分析します。
設計項目 | 決める内容 | 確認例 |
|---|---|---|
対象と単位 | ユーザー・セッションなどを固定 | 同じユーザー識別で重複排除する |
段階の条件 | イベント名と必要なパラメータ | 特定商品閲覧、カート追加、購入成功 |
順序と時間 | 順序の条件、完了まで許す時間 | 閲覧後7日以内の購入など |
入口の条件 | 最初の段階からか、途中参加を含むか | クローズド/オープンを区別する |
成功の定義 | ボタン操作ではなく実際の成功を計測 | 注文受付や問い合わせ保存の成功 |
成功ボタンのクリックだけでは、入力エラーや通信失敗を除けません。コンバージョンの成功条件と合わせて、送信失敗、再読み込み、再送、重複発火の扱いを確認してください。
クローズドファネルで遷移率を計算する
最初の段階から入り、定義した順序で進んだ利用者を追うものがクローズドファネルです。次は同じ対象集団について順序をそろえた架空例で、途中参加や別単位の件数を含みません。
段階 | ユーザー数 | 直前からの遷移率 | 直前段階から進まなかった数 |
|---|---|---|---|
入口 | 10,000 | 対象外 | 対象外 |
商品閲覧 | 4,000 | 40% | 6,000 |
カート追加 | 800 | 20% | 3,200 |
購入手続き | 400 | 50% | 400 |
購入成功 | 200 | 50% | 200 |
商品閲覧からカート追加への遷移率は800÷4,000=20%、離脱率は80%です。入口から購入成功までの全体率は200÷10,000=2%です。前段階が0なら遷移率は計算できず、0%と断定しません。
この「離脱」は、定義した次の段階に進まなかったことを意味します。サイトを閉じたとは限りません。別のページを読んだ、検討を続けた、別端末で手続きした、許容期間外に完了した、計測が欠けたなどの可能性があります。
オープンファネルでは途中参加を分ける
オープンファネルは途中の段階から入る利用者も含めます。そのため、下流の段階の人数すべてを上流の人数で割ると、遷移率として解釈できない場合があります。GA4では最初に条件を満たした段階から入り、後続は指定した順序に従います。段階を飛ばした利用は、その先の連続した達成として数えられません。詳しくはファネルデータ探索の公式説明を参照してください。
架空の4ユーザーの行動をA→B→C、B→C、A→C、Cのみとします。A→CはBを飛ばしているため、そのユーザーのCをAからの連続した達成には含めません。
段階 | クローズドで数える人数 | オープンで数える人数 |
|---|---|---|
A | 2 | 2 |
B | 1 | 2 |
C | 1 | 3 |
オープンのC÷Bは3÷2=150%ですが、これはBからCへの遷移率ではありません。Cから入った1ユーザーを含むからです。Bに到達した2ユーザーのうちCに進んだ2ユーザーを見るなら100%です。分析では途中参加を分け、同じ母集団で次の段階を追います。
GA4でファネルデータ探索を設定する
- 探索からファネルデータ探索を作成し、期間と対象を設定します。
- イベントやディメンション条件で各段階を定義します。指標の大小を段階条件と混同しません。
- 最初から追うならクローズド、途中参加も調べるならオープンを選びます。
- 次の段階へ直接続く必要があるか、間に別イベントを許すかを設定します。
- 段階間の制限時間を決め、商品や検討期間に合っているか確認します。
- 内訳を追加し、条件・人数・時間・順序を記録して結果を読みます。
直接続く条件は、間に別の計測イベントがあると達成の扱いが変わり得ます。意図せず厳しくしないよう、実際のイベント順序を確認します。また、期間内の各ユーザーの最初の適合系列が使われるなど、探索の数え方にも注意します。購入イベント総件数とファネル最終段階のユーザー数を一致させる必要はありません。
内訳には、そのユーザーが最初に条件を満たした値が使われます。モバイルで入りデスクトップで完了した利用を、各段階の端末別にその都度振り分けた表と同じだと解釈しないでください。人数やイベントの単位の確認にはGA4の指標・ディメンション定義も役立ちます。
離脱率だけで優先順位を決めない
先ほどの架空例では80%の離脱がある商品閲覧→カート追加が目立ちますが、絶対数では入口→商品閲覧の6,000人の方が大きくなっています。対象人数、改善余地、下流の達成率、価値、実装コスト、計測への確信を合わせて判断します。KPIツリーにすると、改善対象が最終成果につながる前提を整理できます。
仮に商品閲覧4,000人からのカート追加率が20%から25%になり、その後の2段階の率が各50%で変わらないと置けば、4,000×25%×50%×50%=250人です。元の200人より50人多いという計算になります。これは条件付きの架空シナリオで、施策の予測や保証ではありません。
検証と限界を記録する
改善案は、課題→原因仮説→変更→主要成果→悪影響の指標という形で記録します。前後比較だけでは季節性や流入の変化が混ざるため、可能な場合は対象単位を決めて無作為に割り付ける比較実験を行い、期間、評価指標、終了条件を事前に決めます。
B2Bの商談や店舗購入を含む場合は、段階間の時間差と引き渡し定義も必要です。オンラインと店舗をつなぐOMOの分析でも、許可された識別やデータ連携が確認できた範囲だけを接続します。別端末やオフラインの行動が自動的に同じ人へまとまるとは限りません。ファネルの欠落を、担当者の不手際や本文だけの問題と断定しないでください。




