Net Promoter Score(NPS)とは?公式と計算の考え方

「顧客がどれくらい自社を気に入ってくれているか」を、たった一つの質問で数値化できる——そんな指標が、Net Promoter Score(NPS)です。顧客満足度に代わる顧客ロイヤルティの指標として、AppleやAmazonをはじめ世界中の企業が採用しています。本記事では、Net Promoter Scoreの意味から、スコアを求める公式と計算の考え方、具体的な計算例、目安となる数値の見方、そして日本特有の注意点までを、わかりやすく整理します。
Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア、NPS)とは、顧客ロイヤルティ——企業・ブランド・商品・サービスに対して顧客が抱く信頼や愛着の度合い——を数値化する指標です。フレッド・ライクヘルドによって提唱され、日本語では「顧客推奨度」や「正味推奨者比率」と訳されることもあります。
NPSは、顧客に「あなたはこの企業(商品・サービス)を、親しい友人や同僚にどのくらいすすめたいと思いますか?」という一つの質問を投げかけ、0〜10の11段階で評価してもらうことで測定します。質問が一つでよいシンプルさが、Net Promoter Scoreの大きな特徴です。
従来の顧客満足度調査が「満足していますか?」という過去・現在の感情を聞くのに対し、NPSは「人にすすめますか?」という未来の行動を聞きます。他者に推奨するという行為は相手との関係性にも関わるため、満足度よりも実際の継続利用や口コミといった行動と結びつきやすく、業績の成長と相関しやすい点が注目されています。
NPSでは、0〜10で回答した顧客を、点数に応じて次の3つのグループに分類します。重要なのは、選んだ点数そのものではなく、各グループに何人いるかを集計する点です。
0〜6点という幅広い範囲が批判者に分類される一方、推奨者は9〜10点に限られている点が、NPSの分類の特徴です。
NPSの計算式はとてもシンプルです。回答者全体に占める推奨者の割合(%)から、批判者の割合(%)を引くだけで求められます。中立者は計算に含めません。
NPS = 推奨者の割合(%) − 批判者の割合(%)
人数から直接計算する場合は、次の式でも同じ結果になります。
NPS =(推奨者数 − 批判者数)÷ 回答者総数 × 100
中立者を計算から省くのは、NPSが「すすめてくれる人」と「足を引っ張る人」の差し引き、つまり“正味(ネット)の推奨者の割合”を表す指標だからです。算出された数値は割合(%)の記号を外し、整数で表記します。
実際に数字を当てはめて計算してみましょう。顧客1,000人にNPS調査を行い、回答が次のように分かれたとします。
この場合、公式に当てはめると次のようになります。
NPS = 30%(推奨者)− 40%(批判者)= −10
中立者の30%は計算に使わない点に注目してください。推奨者よりも批判者が多いため、このケースではスコアはマイナスになります。逆に、推奨者70%・批判者10%であればNPSは「+60」となり、推奨者が多いほどスコアは高くなります。
NPSは理論上、−100から+100までの値をとります。全員が批判者なら−100、全員が推奨者なら+100です。
絶対値の目安としては、0を超えれば「推奨者が批判者より多い」状態で良好とされ、+50を超えると優れた水準と評価されます。ただし、+100に到達することは現実にはほとんどありません。
そして、NPSで最も大切なのは絶対値そのものよりも「比較」です。自社の過去のスコアからどう推移したか、同業の競合や業界平均と比べてどうかという相対的な視点で見ることで、顧客体験の改善が前に進んでいるかを判断できます。業界によって平均スコアは大きく異なるため、他業種の数値とそのまま比較しないよう注意が必要です。
Net Promoter Scoreを正しく使うために、押さえておきたい注意点があります。
NPSは測って終わりではなく、結果をもとに行動してこそ価値があります。3つの分類ごとにフォローの方向性を変えるのが基本です。批判者には迅速にフォローアップして不満の原因を解消し、中立者には体験を一歩引き上げて推奨者へ育て、推奨者には口コミを後押しする仕組みや特典を用意してロイヤルティをさらに高めます。こうしてスコアを継続的に測定・改善していくことが、顧客ロイヤルティとLTV(顧客生涯価値)の向上、ひいては企業の成長につながります。
Net Promoter Score(NPS)とは、「親しい人にすすめたいか」という一つの質問で顧客ロイヤルティを数値化する指標です。回答を推奨者(9〜10点)・中立者(7〜8点)・批判者(0〜6点)に分け、「推奨者の割合 − 批判者の割合」という公式でスコアを算出します。中立者を計算に含めないのは、NPSが正味の推奨者比率を表す指標だからです。スコアは−100〜+100の範囲をとり、0を超えれば良好、+50超で優秀とされますが、日本では中間回答が多くマイナスになりやすいため、絶対値より過去推移や競合との比較で読むことが大切です。十分なサンプルを確保し、点数の理由まで聞き取って、推奨者・中立者・批判者それぞれに合ったフォローへつなげる——それがNPSを成長の力に変える使い方です。