リテンションレートの計算方法|コホート・Day N・測定期間の決め方

利用のリテンションレートは、同じ開始条件のユーザー群のうち、定義した期間に帰還行動をした人の割合です。開始イベント、帰還イベント、ユーザーID、観測期間を固定してから計算します。「リテンション率」と「リテンションレート」は呼び方の違いであり、名称だけで別の指標にはなりません。
何を継続として測るかを決める
登録後に戻ったかを知りたいのか、初回利用後も価値を得ているかを知りたいのかで、イベントは変わります。ログインだけを帰還とするより、作成・閲覧・購入など目的に合う行動を選びます。ただし、行動の頻度が低いサービスに毎日の利用を要求すると、通常の利用者まで離脱したように見えます。
記録項目 | 決める内容 | 架空の設定例 |
|---|---|---|
開始条件 | 初回か反復開始か、有料/無料等の対象 | 初めて作成を完了したユーザー |
帰還条件 | どの価値行動を数えるか | もう一度作成を完了 |
識別単位 | ユーザー・アカウント等のID | 一意のユーザーID |
時間の定義 | Day0、日付境界、タイムゾーン | 開始日をDay0、同じ暦日基準 |
観測期限 | 何日目まで見届けたか | 全員をDay60まで観測 |
契約の有効状態を追う場合は、期首顧客を固定する顧客維持率を使います。利用がなかったことと、契約が終わったことを同じ状態として数えないでください。
Day N・期間内・N日目以降は別の計算
「7日継続率」というラベルだけでは、7日目当日か、その後のどこかで戻ったかを判断できません。Amplitudeの計算仕様でも、Return OnとReturn On or Afterを区別しています。ツールの呼称を覚えるより、帰還を数える時間範囲を記録することが大切です。
次は架空の100人を全員Day60まで観測した例です。開始は各人1回、帰還行動は固定、一意の帰還者を数えます。
定義 | 帰還を数える範囲 | 一意の帰還者 | 計算結果 |
|---|---|---|---|
Exact Day7 | Day7当日 | 30人 | 30÷100=30% |
Days7〜30 | Day7からDay30までに1回以上 | 45人 | 45÷100=45% |
Day7以降 | Day7から観測期限のDay60までに1回以上 | 50人 | 50÷100=50% |
この例の帰還者集合は、30人、45人、50人の順に包含されています。同じ100人でも定義が違えば率が変わります。「N日目以降」は無限の将来を観測した値ではありません。観測期限が延びると、追加の帰還によって値が変わる可能性があります。
1日の区切りとDay0をそろえる
開始から24時間ずつ区切る方法と、日付が変わる時刻で区切る方法は一致しません。夜に開始して翌朝戻った人は、暦日では翌日でも、経過時間は24時間未満です。月次も「30日」と「暦月」で意味が異なります。
Amplitudeの時間の仕様は、24時間窓と暦日・タイムゾーンによる判定を説明しています。これは同社の仕様例で、全ツールの既定動作ではありません。比較する前に、自社の開始イベントの反復、時刻の丸め、週の開始日まで確認しましょう。
未成熟のコホートは0%ではない
架空の群Aは100人がDay7まで観測済みで、30人がDay7に帰還しました。群Bの80人はまだDay3までしか経過していません。この時点で算出できるDay7率は、群Aの30÷100=30%です。群Bを分母へ入れた30÷180=16.67%は、まだ戻る機会のない人を非帰還と扱う誤りです。
コホート表では、観測済みで帰還0人のセルと、未観測のセルを分けます。期間内帰還を比べるなら、各群に同じ長さの観測機会を与えてください。「N日目以降」は群によって観測できる将来の長さも違うため、共通の期限を設ける方法など、比較条件を明記します。
複数コホートは人数で集計する
完全に観測済みの別の架空例で、100人中30人と200人中80人が帰還した場合、合計は110÷300=36.67%です。30%と40%の単純平均35%ではありません。群の大きさが異なるので、帰還者と対象人数をそれぞれ合算します。
- 開始・帰還イベントとIDルールが同じか確認する。
- 対象群の観測経過日と欠測・計測同意の条件をそろえる。
- プラン・獲得経路・リリース前後の構成差を分ける。
- 再訪しない理由を調べ、仮説・対象・期間・追加費用を決めて検証する。
特定日の利用継続率は、契約チャーンの単純な補数ではありません。高い率だけで満足度や施策の因果効果も確定しません。数字の変化を調査と判断へつなぐ流れは、KPI分析とレビューの進め方で整理できます。




