セグメンテーションとターゲティングの違いと進め方

「顧客をうまく分けて狙いを定めたいが、セグメンテーションとターゲティングの違いがあいまい」——マーケティング戦略を組む際によくあるつまずきです。この2つはよくセットで語られますが、役割ははっきり異なります。本記事では、セグメンテーションとターゲティングの意味と違い、具体的な進め方、そしてその先にある共創マーケティングという視点までをわかりやすく整理します。
セグメンテーション(市場細分化)とは、市場全体を、共通のニーズや特徴をもつグループ(セグメント)に分けることです。不特定多数を一括りにするのではなく、「どんな顧客が、どんなニーズを持っているか」を見える状態に整理するプロセスだと考えるとわかりやすいでしょう。
市場を分ける際には、主に次の4つの軸(変数)が使われます。
ターゲティングとは、セグメンテーションで分けたセグメントの中から、自社が狙うべき有望な層を選び出すことです。限られたリソースをどこに集中するかを決める、戦略の要となるステップです。
狙うセグメントを選ぶ際には、「6R」と呼ばれる評価視点がよく使われます。市場規模(Realistic Scale)、成長性(Rate of growth)、競合状況(Rival)、優先順位(Rank)、到達可能性(Reach)、測定可能性(Response)といった視点で、その市場が本当に狙う価値があるかを見極めます。
また、ターゲティングの市場への向き合い方には、次の3つの型があります。
両者の違いを一言で言うと、セグメンテーションは「市場を分ける」作業、ターゲティングは「分けた中から選ぶ」作業です。セグメンテーションが市場の全体像を整理する「地図づくり」だとすれば、ターゲティングはその地図上で「どこへ向かうか」を決める「行き先の選択」にあたります。
つまり、セグメンテーションがあって初めてターゲティングが成り立ちます。どちらが優れているという話ではなく、セグメンテーション→ターゲティングという順番で連続したプロセスとして捉えることが大切です。この二つにポジショニングを加えたものが、マーケティング戦略の基本フレームワーク「STP」です。
実際にセグメンテーションとターゲティングを進めるときは、次のステップで進めると整理しやすくなります。
この順番で進めると、「なんとなく分けた」で終わらず、狙うべき顧客像とそこへの訴求が明確になります。
セグメンテーション・ターゲティングは、企業が顧客を「分けて・選んで」訴求を設計する、いわば企業から顧客への一方向のアプローチが基本です。これに対して近年注目されているのが、共創マーケティング(コクリエイション)という考え方です。
共創マーケティングとは、企業と顧客(生活者)が協働し、商品・サービスや価値を共に創り出していくマーケティングの考え方です。顧客を「訴求の対象」としてだけでなく、「価値を一緒につくるパートナー」として巻き込む点に特徴があります。
ここで重要なのが、共創マーケティングとセグメンテーション・ターゲティングは対立しない、という点です。誰と価値を共創するのかを見定めるには、まずセグメンテーションとターゲティングで顧客を深く理解しておく必要があります。狙うべきターゲットが明確だからこそ、その顧客を巻き込んだ共創マーケティングが成立します。STPで土台をつくり、その先で顧客と協働していく。この発展の流れを意識すると、セグメンテーション・ターゲティングの位置づけがより明確になります。
セグメンテーションは「市場を分ける」作業、ターゲティングは「分けた中から狙いを選ぶ」作業です。両者はセグメンテーション→ターゲティングという順番で連続し、ポジショニングと合わせてSTPという戦略の土台を形作ります。進める際は、目的を定めて軸を選び、各セグメントを6Rなどで評価し、狙うターゲットを選んでペルソナに落とし込む流れが基本です。さらにその先には、顧客をパートナーとして価値を共につくる共創マーケティングという発展形もあります。まずはセグメンテーションとターゲティングで顧客を深く理解することが、あらゆるマーケティング施策の出発点になります。