工数は英語で何という?man-hour・effort・man-dayの使い分け

海外の取引先に工数を伝えようとして、man-hourでいいのか、effortと言うべきか迷う。実はこの2つは同じものを指しているわけではなく、使う場面が違います。さらにman-hourという語自体、近年は別の表現に置き換わりつつあります。この記事では、工数まわりの英語表現を、意味の違いと使う場面から整理します。
先に全体像を示します。この3つは言い換えの関係ではなく、それぞれ役割が違います。
日本語の「工数」は、この3つをまたいで使われています。だから英訳するときに迷うわけです。「工数がかかる」ならeffort、「工数は40時間」ならman-hourと、文脈で選び分けます。
プロジェクトマネジメントの文脈で、工数の訳として最も汎用的に使えるのがeffortです。PMBOKでも、作業に必要な労力を表す語として用いられています。
重要なのは、effortとdurationが明確に区別されることです。effortは作業量、durationはカレンダー上の期間を指します。40 man-hoursのeffortが必要な作業は、1人がフルタイムで取り組めば5日、2人が半分ずつの稼働で進めれば10日かかる、という関係になります。
日本語でも工数と期間は別物ですが、英語ではこの区別がより厳格に守られます。会話でdurationとeffortを混ぜると、話が通じなくなります。
数値を伴わずに工数の大小を語る場面では、effortが自然です。
1人が1時間で行う作業量を表す単位です。日本語の人時にあたります。数値で工数を示すときに使います。
計算は単純で、人数と時間の掛け算です。3人が4時間作業すれば12 man-hoursになります。
この記事で最も注意していただきたい点です。man-hourのmanは男性を意味するため、性別中立的な表現への置き換えが進んでいます。
代替表現として使われるのは、person-hourとlabor-hourです。意味も換算も完全に同じで、1対1で置き換えられます。PMIをはじめとする専門団体は、多様なチームでの工数管理においてperson-hourの使用を推奨しています。米国政府機関でも同様の流れがあります。
実務での判断は、相手と場面で分けるのが現実的です。
迷ったらperson-hourを使ってください。man-hourを使って問題になることはあっても、person-hourを使って問題になることはありません。
1人が1日で行う作業量です。日本語の人日にあたり、通常8 man-hoursに相当します。person-dayへの置き換えが進んでいる点はman-hourと同じです。
ただし使用頻度には注意が必要です。日本では人日が見積もりの標準単位ですが、英語圏では建設業や軍事計画といった特定の領域を除くと、時間単位のほうが好まれる傾向があります。ソフトウェア開発でも、細かい作業はhour、大枠の計画はman-dayという使い分けが見られます。
日本式の見積もりをそのまま英訳して人日ベースで提示すると、相手が時間換算を求めてくることがあります。1 man-day = 8 hoursという但し書きを添えておくと、行き違いを防げます。
man-monthという語も存在し、意味は人月と同じです。ただし英語圏では、月単位よりもFTEで表現されることが多くなります。
FTE(Full-Time Equivalent)は、フルタイム勤務者1人分の稼働を1.0として、作業の体制を表す単位です。0.5 FTEなら、フルタイムの半分の稼働を指します。
man-hourが作業量を測るのに対し、FTEは要員の充当量を測ります。1 FTEは1 person-yearに相当する、という整理もされます。
実務では、次のように使い分けます。
「デザイナー0.5人月」を英語で伝えるなら、0.5 FTE for a designerという表現が伝わりやすくなります。
実務で迷いやすい場面を並べます。
最後の「工数管理」は、日本語が広い意味を持つため一語では訳しきれません。何を管理したいのかによって語を選びます。
使えますが、意味がずれます。workloadは人が抱えている負荷の総量を指すため、「彼の工数が逼迫している」のような文脈には合いますが、見積もりの数値としては使いません。作業量の見積もりならeffort、負荷の話ならworkloadです。
utilization rateが一般的です。個人やチームがどれだけ実作業に時間を使えているかを示します。見積もりの文脈でefficiency factorという語が使われることもありますが、こちらは想定どおりに進まない分を織り込む係数という意味合いです。
直ちに失礼とまでは言えません。業界によっては現役の標準用語です。ただし、避けられる表現をあえて使う理由もありません。person-hourなら誰にとっても問題がないので、初期設定をそちらにしておくのが安全です。
相手の慣習に合わせるのが基本です。分からない場合は、person-hoursで積み上げたうえで、合計をperson-daysでも併記する形が無難です。加えて1 person-dayが何時間かを明記しておくと、換算の齟齬を防げます。
英語表現を正しく選んでも、前提が揃っていなければ数字は噛み合いません。1日を何時間とするか、稼働率をどう見込むか、待ち時間を含めるか。これらは言語以前の問題で、日本語のやり取りでも同じように起こります。
見積もりと実績を並べて確認できる状態にしておくと、相手が誰であっても説明がしやすくなります。Xtrategyでは、施策のスケジュールと予算・KPIを同一画面で管理できます。
工数まわりの英語は、単語を覚えるより階層を押さえるほうが早く身につきます。概念はeffort、単位はperson-hour、体制はFTE。この3つの役割分担を頭に入れておけば、大半の場面は乗り切れます。