マーケティング予算の配分と予実管理|四半期で再配分を回す運用手順
期初に組んだ予算が、三ヶ月後には実態と合わなくなっている。それでも組み直さないまま年度が終わる。こうした状態の原因は、集計の手間と、再配分の基準がないことにあります。この記事では、四半期ごとに予算を動かすための運用手順を整理します。
動かせる予算と動かせない予算
再配分を考える前に、分けておくべきことがあります。
年間予算のすべてが動かせるわけではありません。ツールの年間契約、年間で押さえた媒体枠、外注の固定費。これらは期中に手をつけられません。
期初に、年間予算を固定分と可変分に分けてください。可変分が全体の3割を下回ると、四半期で見直しても動かせる余地がありません。
固定分が多すぎる場合
年間契約の更新時に、四半期契約や月額に切り替えられないか確認してください。単価は上がりますが、動かせる範囲が広がります。
どちらが得かは、施策の変更頻度で決まります。年に一度しか見直さないのなら、年間契約のほうが安く済みます。
期初の配分をどう決めるか
前年実績をベースにすると、過去にうまくいったものに予算が集中します。
見るべきは、これから伸びる余地がどこにあるかです。すでに市場を取り尽くしている領域に足しても、伸びは限られます。
実用的なのは、3つの枠で分けるやり方です。
- 土台:止めると既存の成果が下がるもの
- 伸ばす:目標達成に必要な上乗せ分
- 試す:今期の数字には影響しない検証枠
この分け方にしておくと、四半期の見直しでどこから手をつけるかが明確になります。
四半期の見直し手順
見直しの会を開いても、数字を読み上げて終わることがあります。順番を固定すると防げます。
一、着地見込みを出す
実績ではなく、このペースでいったときの年度末の数字を出します。
一四半期で達成20%なら順調に見えますが、残りの施策がなければ未達です。実績だけを見ていると、手遅れになります。
二、差分の理由を分類する
目標と見込みがずれている理由を、次の分類で押さえます。
- 市場環境の変化(自社では制御できない)
- 施策の遅れ(工数や承認の問題)
- 前提の誤り(見積もりそのものが間違っていた)
分類によって打つ手が違います。1番目なら目標の見直し、2番目なら体制の問題、3番目なら施策の入れ替えです。
三、動かす金額を決める
ここで初めて、どこからどこにいくら移すかを決めます。
減額の基準は、CPAが目標の1.5倍を超えた状態が2ヶ月続いたことです。1ヶ月で判断しないのは、季節変動と区別できないからです。
四、目標を再計算する
予算を動かしたなら、目標も連動させます。
この工程を飛ばすと、予算だけ削られて目標はそのままという状態が残ります。四半期ごとに両方をセットで動かすと決めておいてください。
一度に動かす幅
広告のように自動入札を使っている領域では、大幅な変更が学習を崩します。
一回の見直しで動かすのは、各チャネルの予算の2割までに押さえてください。それ以上動かしたい場合は、月をまたいで段階的に寄せていきます。
一方で、イベントや制作物のような単発型の施策は、学習の問題がないため一度に動かせます。領域によって幅を変えてください。
未達時に増額するか
四半期の見直しで最も難しい判断です。
未達の施策に予算を足して挽回を図るか、切って他に回すか。判断の分かれ目は、未達の理由です。
工数不足で予定の量を出せていないなら、予算を足しても解決しません。人を回すか、外注するかの判断です。
予定の量を出した上で未達なら、前提が間違っています。この場合は、増額しても同じ結果になります。
余った予算をどうするか
使い切ることが目的化すると、年度末に意味のない発注が発生します。
これを防ぐには、余った場合の使い道を先に決めておくことです。検証枠に回す、来期の準備に使う、といった形です。
余ったことを問題視する雰囲気があると、現場は使い切る方向に動きます。使わなかった理由を説明できれば良い、という運用にしてください。
エクセルで回すときの限界
小さく始めるならエクセルで十分ですが、回らなくなる場合があります。
- 数字を集めるのに、毎回半日以上かかっている
- ファイルが複製され、どれが最新か分からない
- 見直しの履歴が残らず、なぜそうしたか分からない
