NPSの計算方法|0〜10の分類・計算例・スコアの読み方

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カテゴリ: マーケ基礎用語, CRM・LTV・顧客管理
著者: 与謝秀作
NPS(Net Promoter Score)は、0〜10の推奨意向の回答を3つに分類し、推奨者の割合から批判者の割合を引く指標です。計算式は「(推奨者数−批判者数)÷有効回答数×100」。中立者も有効回答数の分母に含めます。結果は−100〜+100のスコアで、百分率ではありません。
計算が合っていても、回答した人の推奨意向と全顧客の行動は別です。この記事では架空の回答数で計算を確認し、増減・集計・比較の注意点まで整理します。対象や設問を決める手順はNPSアンケートの作り方を参照してください。
0〜10の11段階を3つに分類する
「この商品・サービスを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」という推奨意向を、0から10までの11段階で尋ねます。BainのNPS計算方法では、9〜10を推奨者、7〜8を中立者、0〜6を批判者と分類しています。
回答点 | 分類 | 差し引く数への扱い | 有効回答の分母 |
|---|---|---|---|
9〜10 | 推奨者 | 人数を加える | 含める |
7〜8 | 中立者 | 加えず、引かない | 含める |
0〜6 | 批判者 | 人数を引く | 含める |
無回答・範囲外 | 有効回答とは別に確認 | 使わない | 事前ルールに従い除外・件数記録 |
中立者を「計算に含めない」と省略すると、分母からも外す誤解につながります。正しくは、推奨者数から批判者数を引く部分には入れず、有効回答全体には含めます。1〜10の10段階や満足度の5段階で集めた回答を、そのまま標準のNPSへ置き換えることはできません。
100件の架空回答で計算する
以下は説明用の架空調査です。有効回答100件が、推奨者40件、中立者35件、批判者25件に分かれたとします。
項目 | 人数・割合 | 計算 |
|---|---|---|
推奨者 | 40人・40% | 40÷100×100 |
中立者 | 35人・35% | 35÷100×100 |
批判者 | 25人・25% | 25÷100×100 |
NPS | +15 | (40−25)÷100×100 |
推奨者40%から批判者25%を引くと、NPSは+15です。「15%の顧客が推奨する」という意味ではありません。この例の推奨者の割合は40%で、+15は分類した割合の差を表すスコアです。
中立者を分母から外して(40−25)÷65×100と計算すると、約+23.1になり、別の値になります。また、回答点の平均もNPSではありません。同じ平均点でも9〜10と0〜6の構成が違えばNPSは変わります。
回答0件、欠測、重複の扱い
有効回答0件なら分母が0で、NPSは算出できません。0と表示すると「推奨者と批判者が同数」と誤読されます。「未測定・有効回答0件」と記録してください。無回答と0点も別です。0点は有効な批判者の回答です。
同じ対象が複数回答した場合、最初・最後などどの回答を使うかを集計前に決めます。対象外の人、範囲外の数値、未完了回答は件数と除外理由を残します。低い点数だけを除く処理はしません。重み付けを行う調査なら、その設計と計算方法を明示し、単純な回答件数の例と混ぜないようにします。
増減はポイント、合算は回答数で計算する
同じ条件の次回調査でNPSが+25になった場合、前回+15からの変化は+10ポイントです。「10%上昇」や「顧客満足度が10%上がった」とは書きません。どちらも回答数・回収条件を併記して比較します。
グループを合算するときは、点数の単純平均ではなく、分類ごとの人数から計算し直します。以下も、設問・対象の位置づけ・調査時期が比較可能という条件を置いた架空例です。
グループ | 有効回答 | 推奨/中立/批判 | NPS |
|---|---|---|---|
A | 100 | 40/35/25 | +15 |
B | 50 | 10/20/20 | −20 |
合算 | 150 | 50/55/45 | (50−45)÷150×100=約+3.3 |
(+15−20)÷2=−2.5と単純平均すると、回答数の違いを無視してしまいます。合算値は+3.3ですが、AとBの差も残して報告します。混ぜたことで対象の偏りや特定グループの問題が見えなくならないようにするためです。
「良いNPS」は比較条件を確認して判断する
出典・対象地域・業種・設問・回収方法のない「+30以上なら優良」といった基準だけでは判断できません。まず自社の同じ対象と方法で追い、外部比較を使うなら、質問内容・利用経験・調査時点などが近いか確認します。
Bainが説明するNPSの種類には、企業との関係を尋ねる調査と、特定の体験後に尋ねる調査などがあります。導入直後の体験調査と、長期利用者への関係性調査を、そのまま同じ推移として並べないでください。言語や案内経路を変えた場合も、変更日を記録します。
また、回答者の構成は母集団と同じとは限りません。強い意見を持つ人だけが答えたり、退会済みの人へ届かなかったりすると、回答の見え方が変わります。AAPORの回収率に関する説明が示すように、回収率だけでは非回答バイアスの有無は判断できません。回答数とともに、対象数・案内数・利用期間・顧客区分の構成を確認します。
NPSから改善へ進むときの確認事項
- 調査名、実施期間、対象条件、設問、回収方法、回答数をそろえて保存する。
- 0点と無回答を分け、分類別人数の合計が有効回答数に一致するか検算する。
- 前回との差だけでなく、回答理由と対象構成の変化を確認する。
- 少数回答を細かく分けすぎず、個人が特定されないようにする。
- 推奨意向、実際の紹介、継続、購入、粗利を別指標として追う。
- 施策前後でNPSが変わっても、施策だけの因果効果と決めつけない。
NPSは売上や継続率の代わりにはなりません。顧客の継続的な価値はLTVを高める取り組み、接点をまたぐ体験はOMOの体験設計と組み合わせ、調査で見えた問題を具体的な行動へつなげます。改善施策・担当・評価指標を整理する際は、Xtrategyの機能も確認してください。




