NPS調査とは?実施手順・設問例・集計と活用方法

公開日:
最終更新日:
カテゴリ: CRM・LTV・顧客管理, マーケ基礎用語
著者: 与謝秀作

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著者: 与謝秀作
顧客が自社をどれだけ信頼し、他人にすすめたいと思っているか——これを一つの数値で測れるのがNPS調査です。設問はシンプルですが、ただ実施するだけでは「スコアが出て終わり」になりがちです。本記事では、NPS調査とは何かを整理したうえで、目的設定から集計・活用までの実施手順、そのまま使える設問例、スコアの集計方法、そして結果を改善につなげる活用方法までを、実務に沿って解説します。
NPS調査とは、NPS(Net Promoter Score/ネットプロモータースコア)という指標を用いて、顧客ロイヤルティ(企業やブランドへの愛着・信頼)を測定する調査のことです。NPSは「顧客推奨度」とも訳され、顧客が商品・サービスを友人や同僚にすすめたいと思う度合いを数値化します。
最大の特徴は、調査がきわめてシンプルなことです。基本となる設問はたった一つで、回答も0〜10の数字を選ぶだけ。そのため回答者の負担が小さく、回答率が高く、継続的に計測しやすいという利点があります。また0〜10という共通のものさしで測るため、業界平均や競合とのベンチマーク比較がしやすい点も、多くの企業に採用される理由です。
似た調査に顧客満足度(CS)調査がありますが、両者は測るものが異なります。CS調査は「いま満足しているか」という現時点の満足度を測るのに対し、NPSは「他人にすすめたいか」という将来の行動につながるロイヤルティを測ります。NPSのほうが再購入や継続利用といった業績との相関が高く、経営指標として活用しやすいとされています。
NPS調査は、おおむね次の5つのステップで進めます。スコアを出すこと自体より、その前後の設計と活用が成果を左右します。
最初に「何のために調査するのか」を明確にします。商品・サービス全体の推奨度を知りたいのか、特定の接点(購入後・サポート後など)の評価を知りたいのかで、調査の種類も設問も変わります。あわせて、誰に聞くか(全顧客か、リピーターか、特定の属性かなど)も決めます。対象の選び方は、その後の数値の使い方に直結する重要な判断です。
NPS調査には「リレーショナル調査」と「トランザクショナル調査」の2種類があります。目的に応じて使い分け、できれば両方を組み合わせるのが理想です。
まずリレーショナル調査で全体像と課題を把握し、トランザクショナル調査で個別の接点を深掘りする、という流れが効果的です。
推奨度を問う基本設問に加え、理由を聞く自由記述や、分析に使う属性設問を組み合わせます。設問が多いと回答率が下がるため、全体で7問以内を目安に絞り込むのがコツです。具体的な設問例は後述します。
メール・SMS・Webフォーム・アプリ内表示など、対象顧客が回答しやすい方法で配信します。スコアの信頼性は回答数に左右されるため、回答が集まりにくい前提で依頼数を多めに設定し、集まらなかった場合の対策も考えておきます。
回答を集計してNPSスコアを算出し、自由記述や属性とあわせて分析します。重要なのは「測って終わり」にしないこと。結果を現場と共有し、具体的な改善アクションに落とし込むところまでが調査の目的です。
NPS調査の設問は、大きく「推奨度設問」「理由を聞く自由記述」「属性設問」の3種類で構成します。
NPSの核となる設問で、「究極の質問」とも呼ばれます。これは必ず含めます。
設問例:「あなたはこの商品(サービス)を、親しい友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか?」(0点=まったくそう思わない 〜 10点=非常にそう思う の11段階で回答)
スコアだけでは「なぜその点数なのか」が分かりません。理由を聞く自由記述を添えることで、改善のヒントが得られます。
設問例:「その点数をつけた理由を、差し支えなければお聞かせください」
自由記述は回答者の負担になりやすいため、設問数は絞り、アンケートの後半に配置するのがおすすめです。
分析の切り口を増やすために、属性(年代・利用期間など)や、各接点の満足度を聞く設問を加えます。たとえばSaaSなら「機能」「使い勝手」「価格」「サポート」などを個別に評価してもらうと、強みと弱みが具体的に見えてきます。
回答が集まったら、点数に応じて回答者を3つのグループに分類します。
分類できたら、次の計算式でNPSスコアを算出します。中立者は計算には使いません。
NPS = 推奨者の割合(%)− 批判者の割合(%)
たとえば回答者100人のうち、推奨者60人・中立者30人・批判者10人だった場合、NPSは「60% − 10% = 50」となります。スコアは最大+100から最小−100の範囲を取り、批判者が多いとマイナスにもなります。日本では中央値を選びがちで批判者が多めに出る傾向があるため、絶対値より推移や比較で見るのが基本です。
NPSは「50だから良い・悪い」と単発の数値で判断するものではありません。同じ設問で継続的に計測し、上昇傾向か下降傾向か、施策の前後でどう変化したかを見ることに意味があります。さらに、同業界の平均や競合スコア(ベンチマーク)と比べることで、自社の立ち位置が把握できます。業界が違うと平均値も大きく変わるため、比較は同業界内で行うのが鉄則です。
スコアという定量データと、自由記述という定性データを掛け合わせると、「なぜそのスコアなのか」が見えてきます。批判者の自由記述に多い不満は、優先的に改善すべき課題です。逆に推奨者が評価している点は、伸ばすべき自社の強みといえます。
結果を経営層だけで抱え込まず、顧客と直接接する現場スタッフへ速やかに共有することが重要です。スコアの数字だけでなく具体的な理由をセットで伝えることで、どの行動を続け、どこを直すべきかが明確になり、自律的な改善が生まれます。NPSを重要指標(KPI)として位置づけ、計測→共有→改善のサイクルを回す仕組みづくりが、成果につながります。
NPS調査は、シンプルな1問で顧客ロイヤルティを数値化し、業績との相関やベンチマーク比較に活かせる調査です。実施手順は、目的・対象の設定→調査種類の選択→アンケート設計→実施→集計・活用の5ステップ。推奨者の割合から批判者の割合を引いてスコアを求め、推移と比較、定量×定性で読み解くのが基本です。
最も大切なのは、スコアを出すこと自体ではなく、結果を現場と共有し改善につなげることです。まずは目的を一つに絞り、シンプルな設問で小さく始めて、計測と改善のサイクルを回していきましょう。



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