スイムレーン図とは?部門をまたぐ業務を1枚で表す書き方

業務フローを描いたのに、「で、これは誰がやるの?」と聞かれてしまう。処理を順に並べるだけでは、担当が伝わりません。これを解決するのがスイムレーン図です。この記事では、レーンの分け方と並べ方という、この図固有の判断を整理します。
図を担当ごとの帯に区切って、各処理をその帯の中に配置したフロー図です。プールのコースに似ていることからこの名前がついています。
普通のフロー図との違いは、処理の位置が意味を持つことです。どの帯にあるかで、誰の作業かが決まります。担当者名を図形の中に書き込む必要がなくなります。
最大の利点は、レーンをまたぐ矢印が一目で分かることです。この矢印は、そのまま引き継ぎ地点を意味します。
業務が滞るのは、たいていこの引き継ぎ地点です。依頼を投げたものの相手が気づいていない、確認待ちで止まっている、不備で差し戻された。レーンを分けると、これらが発生する箇所が図の上で特定できます。
逆に、レーンをまたがない図なら、そもそもスイムレーンにする必要がありません。一人で完結する作業は、普通のフロー図で十分です。
この図で最初にして最も重要な判断です。分け方によって、図から見えるものが変わります。
営業部、制作部、経理部といった分け方です。部署間の調整が多い業務に向いており、組織としてどこに負担が集中しているかが見えます。
注意点は、同じ部署の中で役割が分かれていても見えないことです。営業部レーンに5つの処理が並んでいても、それが同じ人がやるのか、担当と上司で分かれているのかは分かりません。
申請者、承認者、作業担当、検収者といった分け方です。承認フローのように、同じ部署内で権限が分かれる業務に向いています。
役割で分けると、人事異動や組織変更の影響を受けにくくなります。部署名で描いていると、組織再編のたびに図を直すことになります。
図を使う目的で決めます。部署間の調整を見直したいなら部署単位、手順を引き継ぎたいなら役割単位です。
迷ったら役割を推奨します。引き継ぎや新人の説明に使う場面が多く、そのときに必要なのは「どの立場の人が何をするか」だからです。
見落とされがちですが、図の読みやすさを大きく左右します。
基本は、仕事が流れる順に並べることです。申請者、上司、経理、というように、データや書類が渡っていく順番で並べます。
こうすると、レーンをまたぐ矢印が一方向に揃い、交差が減ります。逆に、接点の多い部署を端に置くと、矢印が図を横断し続けて読めなくなります。
同じ相手と何度も往復する業務では、どう並べても矢印が行き交います。この場合は、往復する2つのレーンを隣接させてください。
それでも矢印が複雑になるなら、往復の回数そのものが問題です。図の描き方ではなく、業務の進め方を見直す候補になります。
レーンを横に帯状に並べて流れを左から右へ描く形と、レーンを縦に列として並べて流れを上から下へ描く形があります。
判断の目安は単純です。
紙やスライドは横長なので、一般的には横置きのほうが収まりやすくなります。ただしレーンが6を超えると、横置きでは縦方向が苦しくなります。
顧客、取引先、外注先をレーンとして置くかどうか。これも判断が分かれる点です。
含めることを推奨します。外部を描かないと、待ち時間が図から消えるからです。
顧客の確認待ちで止まっている期間は、自社の作業ではないのでつい図から漏れます。しかしリードタイムの大半がこの待ち時間だった、ということはよくあります。
基幹システムや自動処理を、1つのレーンとして置く方法もあります。人の作業と自動処理の境目がはっきりし、自動化の余地を検討するときに役立ちます。
ただしレーンが増えるので、目的次第です。引き継ぎ用なら、システムは人のレーンの中に含めてしまっても構いません。
レーンが8を超えると、図として成立しなくなってきます。対処は3つあります。
2つ目が最も確実です。1枚に詰め込むことを目的にしないでください。読めない図を作るより、2枚に分けたほうが実用的です。
この図で最も情報量の多い部分です。単に矢印を引くだけではもったいないので、何が渡るのかを書いてください。
「見積書」「承認済み申請書」「修正依頼」といった具体名を入れると、引き継ぎの中身が分かります。メールなのか、システム経由なのかを添えると、さらに実用的になります。
図が完成したら、レーンをまたぐ矢印の本数を数えてみてください。これが引き継ぎの回数です。
渡すたびに待ちが発生し、情報が欠けるリスクがあります。本数が多いなら、まとめられないかを検討する価値があります。同じ相手に3回渡しているなら、1回にまとめられないかという問いになります。
登場人物が複数いるかどうかで分けます。1人や1部署で完結する作業なら、レーンを分けても情報が増えません。逆に3者以上が関わるなら、レーンなしでは担当が追えなくなります。
主担当のレーンに置くのが基本です。どうしても分けられないなら、その処理自体を分解できないか検討してください。「一緒にやる」とされている作業は、実は誰も責任を持っていないことがあります。
矢印に日数を添えるのが簡単です。「承認待ち:平均2日」のように書くと、どこで時間がかかっているかが図の上で分かります。実作業より待ち時間のほうが長い、という事実が見えてくることもあります。
引き継ぎと改善検討の2つが主な用途です。特に部署をまたぐ業務では、関係者を集めてこの図を見ながら話すと、認識の違いが表面化します。
スイムレーン図が示すのは、誰が何をするかという役割分担だけです。いつまでにやるか、今どこまで進んでいるかは表せません。役割が固まったら、次はそれを日程と進捗に落とす作業が残ります。
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スイムレーン図を描く目的は、役割分担を絶えず確認することです。完成したら、レーンをまたぐ矢印を数えてみてください。その数が、そのままこの業務が止まりうる回数です。