3C分析とは?やり方・テンプレート・記入例を解説

3C分析は、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点で情報を整理し、誰にどんな価値を提供するかを検討する方法です。分析表を埋めることが目的ではなく、根拠のある戦略仮説と次の検証を作るために使います。
大前研一の著書『The Mind of the Strategist』では、顧客・自社・競合の関係をStrategic Triangleとして論じています。ここでは初提唱年の断定より、実務で情報と判断をどうつなぐかに集中します。
最初に分析の範囲と問いを決める
「会社全体の強み」では広すぎる場合があります。「国内の小規模制作会社に、月次の案件採算を確認するサービスを提供するか」のように、対象顧客、提供物、地域、判断を絞ります。対象を変えると競合も変わるため、一つの表に複数事業を混在させないようにします。
分析開始時に、判断予定日と情報の確認日も決めます。料金、機能、顧客の予算、競合の提供条件は変わり得ます。古い情報を使うなら、その時点の情報であると明記します。調べてもわからない市場シェアなどは未確認とし、推測を事実欄に入れません。
3つのCで集める情報
区分 | 主な問い | 確認に使う資料 |
|---|---|---|
Customer | 誰のどんな課題か。購入を決める人と利用者は誰か。代替手段は何か。 | 顧客インタビュー、失注理由、利用記録、対象を確認した統計 |
Competitor | 同じ課題をどの条件で解決するか。価格以外の制約は何か。 | 公式料金・仕様、実際の試用、提案条件と確認日 |
Company | 今提供できる価値は何か。人員、費用、支援体制にどんな制約があるか。 | 自社の原価、運用記録、開発・支援体制、顧客の評価 |
競合には同業のサービスだけでなく、顧客が現在使う表計算、社内作業、外注なども含めます。「導入しない」選択肢に勝てる理由がなければ、競合サービスより機能が多いだけでは購入理由になりません。
同じ条件で比較し、機能と評価を混同しない
料金なら人数、契約期間、オプション、税、利用上限をそろえます。機能が存在することと、顧客の業務に適することも別です。たとえばAsanaは公式に日本語版の提供を発表しています。「海外製品だから日本語UIがない」といった決めつけは使えません。承認手順やサポートの適合性は、別の要件として実際の条件を確かめます。
自社についても同じ粒度で調べます。「使いやすい」を強みとするなら、対象者、操作課題、完了率、所要時間など、確認方法を置きます。自社担当者の印象だけでは、競合より優れているという結論にはできません。
コピーして使える3C分析テンプレート
次の表をCごと、必要な問いごとに複製できます。数字には対象・期間・単位を付け、出典URLがない社内資料は文書IDや保管場所を残します。
記入項目 | 記入欄 |
|---|---|
3C区分・対象の問い | [Customer・Competitor・Company、何を判断するか] |
確認した事実 | [誰について、どんな条件で観測したか] |
一次出典・確認日 | [URL・文書ID、対象期間、確認日] |
解釈・仮説 | [その事実から何を考えるか] |
反証・不足情報 | [違う説明、例外、まだ確認できていないこと] |
示唆・次の検証 | [変える意思決定、試す内容、判断指標] |
担当・期限 | [収集担当、実行担当、確認日] |
「対象8社のうち5社が月次集計に困ると回答した」は、実際の調査ならその8社についての観測です。「市場全体の過半数が困っている」までは言えません。事実の範囲と、今後確かめる仮説を分けることが重要です。
架空のサービスで見る記入例
以下の企業、調査、価格、機能、件数はすべて説明用の架空例です。実在サービスの比較や市場成長率ではありません。小規模制作会社向けに、案件ごとの費用を集めるサービスを検討するとします。
区分 | 架空の観測・設定 | 仮説 | 不足・反証 |
|---|---|---|---|
顧客 | 試行募集で話を聞いた8社のうち5社が、月次集計の転記を課題として挙げた | 転記を減らす支援に価値があるかもしれない | 募集に反応した会社に偏る。支払意思と継続利用は未確認 |
競合 | A社は月額1万円でセルフ導入、B社は月額2万円で初期支援付き。手作業なら新規契約は不要 | 価格だけでなく導入負荷が選択に影響するかもしれない | 価格条件は架空。支援範囲と実作業時間の比較が必要 |
自社 | 費用入力の試作画面があり、試行支援できる担当は1名 | 対象業務を絞れば支援を提供できるかもしれない | 多社同時支援の能力、保守費用、入力ミスは未確認 |
この例から「導入時の入力設計を支援すること」をKSF(重要成功要因)の候補にできます。ただし成功要因が発見・証明されたわけではありません。機能追加より、最初の月次集計を完成できるかを小規模に試す、という戦略仮説です。
強みから顧客価値・検証・KPIへつなぐ
架空例では、入力画面という自社の資源を「初回の集計を終えられる」という顧客価値につなぎます。次の検証を「同じ条件で3社を支援し、入力完了までの作業と障害を観察する」と置き、作業時間、入力完了、修正件数、支援工数を記録します。この3社という数も市場代表性や因果効果を保証しません。
判定では、顧客の手間だけでなく自社が支援を継続できるかも確認します。結果を見て、対象顧客の絞り込み、支援内容の変更、追加調査などを判断します。指標の定義はKPIの基本、具体的な実行計画はマーケティング戦略の立て方へ進めてください。
他のフレームワークは問いに合わせて選ぶ
規制や技術変化を調べたいならPEST、内部・外部要因を整理したいならSWOT、提供内容を具体化したいなら4Pなどを組み合わせられます。ただし、すべてを決まった順に実施する必要はありません。比較はマーケティング戦略フレームワークの使い分け、記入例はSWOT分析テンプレートを参照してください。
判断日には、確認できたこと、未確認のこと、次に試すことを分けて共有します。新しい情報が出たら旧記録を残して改訂し、競合の弱点を探すだけの表にしないようにします。
分析から生まれた施策のKPI、担当、月次費用を管理する際は、Xtrategyの機能一覧でプロジェクトや予算・実績管理を確認できます。分析の根拠と実行の記録をつなげて、次の判断に使いましょう。




