中小企業のCRMの選び方|判断軸5つと導入時につまずく点
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カテゴリ: CRM・LTV・顧客管理, マーケティングDX
著者: 与謝秀作
CRMの選び方を調べると、機能の充実度や連携性、導入支援体制といった基準が並びます。しかし中小企業では、それ以前に「導入を進める人が他の仕事も抱えている」という制約があります。この記事では、専任担当を置けない前提でのCRM選定を整理します。
一般的な選び方がそのまま使えない理由
CRMの導入手順としてよく紹介されるもののうち、中小企業では実行できないものがいくつかあります。
- 3年分の総コストで比較する:3年後の人員や事業規模が読めないので、試算の前提が置けません
- 一部チームでパイロット運用する:部門が1つしかなければ、分ける対象がありません
- 運用責任者を置く:専任を置ける人員がいないことがほとんどです
これらは間違っているわけではなく、一定規模以上の組織を前提にしています。人員の制約が強い場合は、別の判断軸が必要になります。
判断軸5つ
人手をかけられない前提で選ぶとき、見るべき点は次の5つです。
1. 設定に何日かかるか
機能が多いツールは、その分だけ初期設定が必要です。項目の定義、権限の設定、画面のカスタマイズ。これらに数週間かかる製品もあります。
専任を置けないなら、初期設定が1〜2日で終わるものを選んでください。商談時に「契約から使い始めるまで何日かかるか」を直接聞くのが確実です。
2. 入力する人が何人か
入力者が3人以下なら、機能の多寡より入力の軽さが優先です。入力が止まった瞬間にCRMは価値を失いますが、人数が少ないほど一人が止めたときの影響が大きいからです。
見るべきは、商談を1件登録するのに何クリック必要か、スマホから入力できるかの2点です。外出が多い営業なら、戻ってからPCで入力する前提は守られません。
3. 今のやり方の何を捨てるか
これが最も見落とされる点です。CRMを入れてもExcelを併用している間は、入力が二重になり、やがてExcelだけが残ります。
導入を決める前に、今使っているファイルのうちどれを止めるかを決めてください。止められないのであれば、そのCRMは自社の業務に合っていません。
4. やめるときにデータを持ち出せるか
選ぶ段階では考えにくいことですが、契約前に確認しておく価値は大きいです。
顧客情報と商談履歴をCSVで出せるか、添付したファイルを一括でダウンロードできるか。この2つができないと、乗り換えを検討したときに身動きが取れなくなります。
5. 料金が変わるきっかけは何か
ユーザー数だけでなく、登録件数やデータ容量で上位プランに移行が必要になる製品があります。
人数が増えなくても、使い続けるだけでデータは溜まります。何が増えると料金が上がるのかを、契約前に確認しておいてください。
導入時につまずく点
選定を慎重にしても、運用で止まるパターンがあります。中小企業特有のものを3つ挙げます。
経営層が見ない
小規模な組織では、社長や役員が日常的に商談を把握しています。その人がCRMを見ずに口頭で確認している間は、入力する必然性が生まれません。
対策は単純で、進捗の確認をCRMの画面で行うと決めることです。口頭で聞かれても「画面を見てください」と返す運用にすれば、入力は自然に定着します。
導入担当が抜けると止まる
1人が設定と運用を抱えていると、その人が退職・異動した時点で誰も触れなくなります。
完全な引き継ぎ書は作れなくても、「どこの設定をいじると何が変わるか」を数行残すだけで差が出ます。ベンダーのサポート窓口を、担当者以外も知っている状態にしておくことも有効です。
無料プランの上限に達する
無料で始めて定着したあと、件数上限に達して初めて有料化を検討するケースです。
この段階ではすでにデータが蓄積しているため、他社への乗り換えは現実的ではなく、提示された価格を受け入れるしかなくなります。無料プランを選ぶときは、有料プランの価格を先に見て、その額を払えるかを判断しておいてください。
最初に入力する項目を絞る
導入直後に項目を埋めようとすると、ほぼ確実に止まります。
最初の1ヶ月は、次の4項目だけで十分です。
- 顧客名と担当者名
- 最終接触日
- 現在の状態(提案中・検討中・受注・失注)
- 次にやることとその期日
金額や確度、業種などは後からで構いません。この4項目が埋まっていれば、少なくとも「誰がどこで止まっているか」は見えます。
よくある質問
Q. 無料ツールから始めてもよいですか
入力が続くかを確かめる目的なら有効です。ただし、将来的に有料化する前提で選んでください。無料で使える範囲に合わせて運用を作り込むと、上限に達したときに選択肢がなくなります。
