マーケティングチームのタスク管理|施策が属人化しない体制のつくり方
担当者が休んだ途端に、その人の施策が止まる。引き継ぎのたびに、過去の経緯を聞き回る作業が発生する。マーケティングチームでよく見る光景です。
属人化は、担当者が情報を抱え込もうとして起きるわけではありません。タスクの書き方と、チームで回す仕組みが整っていないと、普通に仕事をしているだけで自然に属人化していきます。この記事では、マーケティングチームのタスク管理を、属人化しにくい形に設計する方法を解説します。
マーケティングチームで属人化が起きる3つの場所
タスクが個人のメモに留まっている
チームのタスクツールには大きな作業だけを登録し、細かい作業は手元のメモやチャットの自分宛チャンネルに書いている。この状態では、ツール上に見えているのは作業全体の一部でしかありません。
引き継ぎが難しくなるのは、この見えていない部分です。引継資料には大きな作業しか書かれておらず、引き継いだ人が実際に手を動かして初めて「こんな作業もあったのか」と気づくことになります。
判断の理由が記録されていない
マーケティングの作業は、手順よりも判断の連続です。この訴求を選んだ理由、この配信時間にした理由、この外注先にした理由。こうした理由が残っていないと、他の人が引き継いだときに同じ判断を再現できません。
結果として、一度検討して見送ったはずの施策を、数か月後に別の担当者がゼロから検討し直すといった無駄が起きます。
外部パートナーとのやり取りが個人のメールにある
制作会社や代理店との連絡が、担当者個人のメールやDMで完結しているケースです。依頼内容や修正の経緯がチームから見えないため、その担当者が不在になった瞬間に外部とのやり取りが止まります。
属人化しにくいタスクの書き方
仕組みを変える前に、まずタスク1件の書き方を揃えるだけでも状況は変わります。ここでは3つのルールを紹介します。
タスク名に成果物を書く
「メルマガの件」「広告の対応」のようなタスク名は、書いた本人にしか意味が分かりません。「月次メルマガ(10月号)の原稿作成」のように、何ができれば終わりなのかが名前から読める形にします。
タスク名を成果物で書くと、担当者以外の人が一覧を見ただけでチーム全体の作業量を把握できるようになります。
完了条件を先に決める
タスクを登録する時点で、何をもって完了とするかを一行書いておきます。「上司の承認を得て配信予約まで完了した状態」のように書くと、引き継いだ人がどこまでやればよいのかを確認せずに進められます。
判断に使った情報をタスクに添える
作業中に何かを決めたときは、その理由をタスクのコメントに一行残します。「A案とB案で迷ったが、前回のCTRが低かったのでB案にした」という程度で十分です。
別途議事録を残すのではなく、判断をしたタスクに直接ぶら下げるのがポイントです。後から探す人は、議事録ではなくその作業のタスクを見に来るからです。
チームで回すための3つの仕組み
未割り当てのタスクを置く場所を作る
タスクが発生した時点で担当者を決めようとすると、「とりあえず詳しい人」に寄っていきます。担当未定のタスクを一旦置いておく列を作り、週次の定例でまとめて割り振る形にすると、偏りに気づけるようになります。
引き継ぎの単位をタスクにする
引き継ぎを「施策一式」で渡すと、受け取る側は何から手をつければよいのか分かりません。残っているタスクを一覧で渡し、それぞれの完了条件と過去のコメントを読めば進められる状態にしておきます。
逆に言えば、引き継ぎのときに追加で資料を作らなければならないのであれば、普段のタスク管理が足りていないということです。
繰り返す施策は手順を型にする
メルマガ配信、ウェビナー開催、バナー差し替えなど、月に何度も発生する作業は、タスクの並びを型として保存しておきます。毎回ゼロからタスクを作る必要がなくなるだけでなく、担当者が変わっても抜け落ちが起きにくくなります。
型にする対象は、すべての施策ではなく、月に1回以上繰り返すものに絞ります。年に1回の施策を型化しても、次に使う頃には前提が変わっています。
属人化の度合いを確かめる5つの質問
自チームの状態を知るには、次の5つに答えてみるのが手っ取り早い方法です。
- 担当者が1週間休んだとき、他の人が代わりに進められるタスクはどれくらいあるか
- ある施策の過去の判断経緯を、本人に聞かずに調べられるか
- 外部パートナーへの依頼内容を、担当者以外が確認できるか
- 新しく入ったメンバーが、定型施策を見よう見まねで進められるか
- チームの作業量の偏りを、タスクの一覧から読み取れるか
「いいえ」が多いほど、タスクの書き方に手を入れる価値があります。逆にすべて「はい」であれば、今の運用を維持すれば十分です。
属人化対策でやりがちな失敗
すべてを記録しようとする
「何でも記録しよう」とすると、記録の手間が作業を圧迫して途中で止まります。残す対象は「後から他の人が探すだろうこと」に絞ります。具体的には、判断の理由、外部への依頼内容、数値の根拠の3つです。


