タスクボード・カンバンボードの作り方|列設計とWIP制限の決め方
カンバンボードを作ったものの、カードが溢れて見る気がしなくなった。あるいは、列を増やしすぎてどこに置けばよいか迷う。こうした問題の多くは、列の設計と、同時に進める件数の上限を決めていないことに原因があります。
列は作業の状態を表す
最初に押さえるべきは、列が何を表すのかです。
列は作業の状態を表します。担当者でも、部署でも、案件の種類でもありません。
担当者ごとに列を作ると、カードが横に動かなくなります。ボードの価値は、カードが左から右に進むことで進捗が見える点にあります。動かないボードは、単なる一覧表です。
担当者を見たい場合は、列ではなくカードの属性で表してください。フィルタで絞れば、列を増やさずに済みます。
列の数と内容
基本は3列です。未着手、進行中、完了。
これで足りないと感じたときに列を追加しますが、上限5つを目安にしてください。
列が多いと何が起きるか
カードを動かす回数が増え、更新が面倒になります。
また、列と列の違いが曖昧になり、人によって置く場所が変わります。こうなると、ボードを見ても実態が分からなくなります。
レビュー待ちを列にするか
よく迷う点です。判断基準は、そこで滞ることがあるかです。
依頼してから確認が戻るまでに数日かかるなら、列にする価値があります。その日のうちに戻るなら、進行中のままで十分です。
列にする意味は、待ちが見えることです。レビュー待ちが5件溢れていれば、確認する人がボトルネックだと分かります。
WIP制限を決める
WIP制限とは、同時に進行できる件数の上限を決めることです。
上限を超えたら、新しい作業を始めずに、進行中のものを終わらせる。シンプルなルールですが、実行すると進み方が変わります。
なぜ上限が必要か
人は同時に多くを抱えると、切り替えのコストで遅くなります。
10件を並行して全部が半分進んでいる状態より、3件を終わらせて次に進むほうが、結果として多く終わります。途中の作業は、終わるまで価値を生みません。
数字の決め方
進行中の列に、人数の1.5倍程度から始めてください。4人のチームなら6件です。
上限にぶつかって手が止まることが多いなら、少しだけ増やします。逆に、一度も上限に達しないなら制限が緩すぎています。
上限に達したときの行動
ここを決めておかないと、制限が形骸化します。
新しい作業を始めたくなったら、まず進行中のどれかを終わらせる。終わらせられないなら、なぜ止まっているのかを共有する。この2つをルールにしてください。
実は、この共有がWIP制限の最大の効果です。上限に達するたびに、ボトルネックが表に出てきます。
完了の定義を列ごとに決める
カードを右に動かす基準が人によって違うと、ボードの信頼性が下がります。
各列に、何ができたら次に進めるのかを一行書いてください。
- 進行中→レビュー:自分で見直して、人に見せられる状態
- レビュー→完了:指摘が反映され、公開または引き渡し済み
これがないと、「だいたいできた」で右に動かす人と、完璧になるまで動かさない人が混在します。
滞留したカードの扱い
どんなボードでも、動かないカードは出てきます。
放置するとボードが溢れ、やがて誰も見なくなります。滞留の日数を決めて、超えたら対応するルールを作ってください。
対応は3つです。分割する、担当を変える、未着手に戻す。戻すのは後退に見えますが、進行中の列を実態に合わせるのが優先です。
ボードを分ける判断
カードが増えてくると、ボードを分けたくなります。
分けてよいのは、進める人が重ならない場合です。同じ人が両方を見るなら、分けないほうが楽です。
分けると、どちらを開けばよいか判断する手間が毎回発生します。WIP制限もボードごとになるため、全体の件数が見えなくなります。
よくある質問
Q. カードの粒度はどのくらいが適切ですか
数日で終わる量が目安です。数週間かかるカードは、進行中の列に居座りして進捗が見えません。逆に半日で終わるものを全部カードにすると、管理の手間のほうが大きくなります。
Q. 優先度はどう表しますか
列ではなく、未着手の列の上下で表すのがシンプルです。上から順に取るというルールにすれば、優先度のラベルを作らなくても済みます。
Q. WIP制限を守れません
上限を超えても何も起きないなら、ルールは形骸化します。超えたら定例で取り上げる、という程度でも効果があります。監視するのではなく、話題に上げることが目的です。
Q. 完了列のカードはいつ消しますか
週に一度、振り返りのあとにアーカイブするのが一つの形です。すぐに消すと、今週何が終わったのかが見えなくなります。


